[個展より-6-]『まいご』 童謡の「いぬのおまわりさん」に、 「まいごの まいごの こねこちゃん」という一節があります。 私は、「こねこちゃん」という言葉に、 小さくてかわいい「人間の女の子」を連想するせいか、 歌を聴いても犬のおまわりさんの姿はあまり浮かばず、 おつかいにいって寄り道をしてしまう、 童話の赤ずきんちゃんの危なっかしいイメージが 勝手につながってきます。 そういう連想ゲームをそのまま描いた絵です。
[個展より-5-]『「ムーンリバー」(映画『ティファニーで朝食を』)』 ライバル、という単語は、「同じ川を利用する人」が原義だそうです。 タイトルに作者がどういう意味を込めたのかは色々説があるようですが、 私には個人的に、隠喩でもなんでもなく、 映画の内容にも関係なく、 このネーミングには歌が生まれた時代のアメリカの宇宙開発熱が まず重なります。 この歌を聴くと、「同胞である月に対する地球の複雑な気持ち」を感じて、 自分が地球になったような気になります。
[個展より-4-]『般若波羅蜜』 般若心経を読むと、私は、集合的無意識や宇宙をイメージします。 何かの拍子にとても素晴らしい智慧を発見したとして、 「それ」を表す言葉がまだ無いのに他人に伝える必要があるなら、 自分の知っている限りの言葉を組み合わせて、 「それに近いもの」を表すしかありません。 表せないものを表す難しさを感じると同時に、 音と文字と意味をなるべく効率的に組み合わせて構成された形が、 本質ではないのに魅力的に整って見えることが、 言葉のやっかいな性質を表していると思います。
[個展より-3-]『宇宙人へのてがみ』 私は、たいていの動物は、自分が生きのびるのに必要な、 合理的な美しい形をしていると感じます。 そういう意味では人間の形は、 必ずしも自分が生きのびるのに最適な美しさがあるようには思えません。 人間の形は、自分以外のものに役に立つために進化してきて、 それがほかの動物と違うところかもしれないと思います。 その最たるものが、複雑な手の形とその仕事だと思っています。
[個展より-2-]『意信伝真』 「伝」という字と、「信」という字は、 どちらも「ひと(にんべん)」に「いう(言、云)」という意味の形を書きます。 これはおもしろいなぁ、と思ったことが、この絵を描いたきっかけです。 この字が出来た時代やそれよりも前には、 言葉を使う、意思を伝えるということがとてもシンプルで、 伝わってきたものを信じることは当たり前のことだったかもしれません。