若い人の一部に、昭和レトロブームが起こっているらしく、レコード盤の製造枚数もどんどん増えているし（これは世界的現象）、カセットまでもの珍しいので復活してきているらしい。

レコード盤の復活はうれしい限りで、なんせ私は、レコードがCDに駆逐されてどんどんなくなっていく時代においても、音質や存在感からどうしてもレコード盤を手放す気になれず、ターンテーブル（レコードプレーヤー）だって製造されなくなってしまうと困るから、無理して高級なものに買替えたりしていたくらいなのだ。

一方でCDは面白くないとして衰退し、ダウンロードに移行して、ほとんどの新車は、灰皿がなくなったように、もはやCDプレーヤーがなくなってしまい、車内ではスマホ接続による音楽に移行してしまっている。

そのため、私などは車の買替えをためらっているのである。

そうした中、昭和のレトロ歌謡もブームなのだという。

かくいう私も、帰りの通勤電車では、よくYouTubeで懐かしい昭和歌謡やフォークソングを聴きながら帰ってくるのである（当然、途中で入る鬱陶しい広告をなくすためにいくらか払ってもいる）。

思えば、70年代は、フォークソングが盛んで、素晴らしい昭和歌謡が多く、中学生や高校生の若者がギター片手に歌っているなどというのは当り前だった。

私ですら、フォークギターを弾きながら、吉田拓郎の「落陽」だの紙ふうせんの「冬が来る前に」などを歌っていた時代があったのである。

かつて私が外資系金融機関のリスク管理部門に勤務していた頃、グループ証券会社のコンプライアンス担当は、60歳代後半の男女二人がやっていた。

若い人から見たら、既におじいちゃん、おばあちゃんの領域に入っていたのだが、そこは歳はとっても外資系証券会社なので、並のおじいちゃん、おばあちゃんではなく、特におばあちゃんはなかなか奇妙な派手さを持って目立っていた。

コンプライアンス担当ということもあり、普段は、あまり人が寄りつかないことをいいことに、二人は独自の世界をつくりあげていた。

外資系企業の場合、面接などで年齢を尋ねることは、「エイジ・ハラスメント」となりかねないため、禁じられている。

従って、表向き業務に年齢は問わないのであるが、激務のため、50歳代くらいで、自然淘汰されていくのが普通だ。

但し、経験がモノを言うことが多いコンプライアンス部門には、時々、こうした高齢者が混ざっていることもあるのだ。

二人は、他社でも何度か一緒に働いていたようで、どうやら一方が何らかの理由で転職すると、必ずもう一方を呼び寄せるという関係にあったようだ。

呼んだ方が上司となり、呼ばれた方が部下になるので、この二人は、上司になったり、部下になったりしながら、二人で長年、連れ添うようにして世の中を渡ってきたようだ。

二人は、コンプライアンス部門のキャビネットの上に、鉢植えのアボガドをいくつか勝手に持ち込み、二人で水をやったりして育てていた。

周囲も、まああれは二人の子供のようなものだからと、鉢植えのアボガドを大目に見ていた。

二人は、周囲の人たちには「職場内夫婦」と言われており、その程度のことは許されていたのである。

ところが、ある日、休日出勤した同僚が、シュールなものを見てしまったと言って、私のオフィスに駆け込んできた。

休日の誰もいないオフィスに、二人がフォークギターを持ち込んで、おじいちゃんがギターを弾いて、二人でフォークソングを歌っていたというのだ。

この事件は、すぐに社内で広まり、外人トップマネージャーの知るところにもなったが、外人トップマネージャーは、驚きあきれながらも、二人には触れたくないとして見過ごした。

当時の外人トップマネージャーだった人物は、私は結構ウマが合って仲良くしていたのだが、私が激務に疲れて他社に転職した時期とほぼ同じ時期に、自ら起業して、会社を去った。

その後もたまに彼と飲んでいたのだが、ある日、彼がシュールなものを見てしまったと言い出した。

別なビルの新しいオフィスで起業していた彼は、ある日、エレベーターの前で、ばったりあの二人に出くわしてしまったというのだ。

二人は、また別の小さい外資系証券会社で、一緒に働き始めたらしいというのだ。

彼らの消息を聞いたのは、それが最後となった。

さて、例によって、全く意味もない話をしてみたが、今日は、昭和歌謡（含フォークソング）で遊んでみようと思う。

我々のようなリアルタイムで昭和を生き抜いてきた人間なら誰もが知っている、若い人におすすめの昭和歌謡集（YouTubeリンク付き）を特集したい。

これらは、私がよく帰宅する通勤電車の中でも聴いているものであり、もし若い人で、聴いたことがない曲があったのならば、すぐにでもリンクをクリックして聴かなければならない。

尚、順番は別に意味がなく、私が適当に思いついた曲から紹介していくだけなので、ランキングには関係ない。

要するに、単に思いついた私の好きな曲を適当に20曲ほど集めてみたというだけのことだ。

それにしても、あの時代、いい曲が多かったなあ。。。

ちなみに、中森明菜のカバーシリーズに、「フォーク・ソング」というものが2枚あって、結構、おすすめなのである。

では、気が向くままに始めよう。

1．ささやかなこの人生　風　1976