同性愛者にとどまらず多様な性的マイノリティの連帯を指向する思想は、クイアと呼ばれることが多い。スタディーズゲイレズビアンは、つねに同性愛者のアイデンティティに基づく政治活動との関係に規定されている。詩人で批評家のアドリエンヌリッチは「レズビアン連続体」という概念によって、レズビアン関係をフェミニストの連帯のモデルとして描いたが、同性愛異性愛の差異を縮小する傾向と、むしろ差異を強調する傾向の双方が見られる。

同性愛の歴史を実証的に検証する一方で、同性愛を固定した実体ではなく文化的社会的な構築物ととらえる立場から、政治的分析を行う傾向も生まれた。1970年代からとくに英語圏で大きく進展した、多くは同性愛者自身による同性愛の研究。これらの研究はコミュニティレズビアンゲイの発展とも結びついた。ジョンデミリオ、ジェフリーウィークスといった研究者は、過去の同性愛を記述するだけでなく、ミシェルフーコーの影響のもと、ホモフォビア(同性愛嫌悪)の社会的布置を検討した。

この傾向は皮肉なことに、80年代のエイズ(後天性免疫不全症候群)/HIV(ヒト免疫不全ウイルス)の流行によって加速された。HIVによって同性愛者への差別が顕在化し、その結果逆に多くのレズビアンゲイが新たにカムアウトして規範的セクシュアリティの批判に向かったのである。アクトアップなどのアメリカのエイズ対策活動団体は、それまで行動をともにすることが比較的少なかったレズビアンとゲイを連帯させ、文化理論を育てる場にもなった。その後英米の多くの大学にスタディーズゲイレズビアンの専攻課程が置かれ、とくに文学研究においては一つの制度として確立されている。

今日の性をめぐる言説に広く影響を与えたアメリカの思想家ジュディスバトラーのパフォーマティビティ(行為遂行性)論は、構築主義的立場から、身体は生物学的に固定された所与のものではなく、日々の行動の反復によって構築されていると主張しているが、この思想はレズビアンによる男女の性役割の模倣への考察から生まれている。セクシュアリティとジェンダーを固定的にとらえれば、異性愛制度を批判しているはずのレズビアンが、女っぽい(フェム)、あるいは男っぽい(ブッチ)立ち居ふるまいを模倣するのは奇妙な事態として疑問視される。しかし同性愛も無から生じるのではなく、すでに存在する文化を利用しなければ成立しないと考えれば、異性愛文化の模倣を一概に否定せず、積極的な意味をみいだすこともできる。このようにバトラーの思弁的な身体論は、きわめて具体的な政治的文脈から生まれている。


英国籍の性転換手術を受けて女性となったレズビアンの元男性が、性転換手術前に冷凍保存した精子を利用し、パートナーの女性に人工受精し、母親になろうとしているとのこと。

このレズビアン二人の名前は現在明らかにされていないが、離婚調停 カップルは人工授精を行ない、更に生まれてくる赤ちゃんが女の子であることを希望している為、スクリーニング(生み分け)が禁止されている英国を離れ、現在は既にアメリカへと渡っている。

また今回、彼女らにアメリカのクリニックを紹介したのは英国での「デザイナーベビー」論議の中心人物でもある専門家のポールレインスベリ医師である。

1997年、レインスベリ医師は英国にて初めて男女を生み分ける機会を提供している(現在は特別な場合を除き禁止されている)。

もし今回の人工授精が成功し、カップルの女の子が生まれた場合、血精液症 精子を提供した女性は事実上の実父でありながら、誕生した子供は二人の実の母親を持つという状況が発生することとなるため、英国では物議を呼んでいる。

前自由党前議員のアルトン卿は「非常に不快なことです。生まれてきた子供がいつか自分の生まれに対し疑問を持ったとき、一体何と説明するのでしょうか。混乱するのは自明のことです。」と語った。