柳澤です。
笠間市の地域おこし協力隊としての最後のブログになります。
三年間は、思った通りあっという間でしたが、多くの人との出会いがあり、いろいろな形で活動を支えていただきました。本当にお世話になり、心より御礼申し上げたいと思います。
活動をしながら、いろいろ考えましたが、最後に二つほどお話ししたいと思います。
一つは、“里山”です。(奥)山と里の間にあるのが里山ですが、里は地域の状況によって様々な変貌を遂げ、今日の姿になったはずです。
笠間市では、“里”はコンパクトな都市的機能を持つエリアとして発展しているように見えます。特に、笠間稲荷神社を中心とした観光で賑わう門前通りは、近隣に日動美術館等もあり、文化の面も充実しています。一方、“山”であったエリアは新しい土地活用の典型でもあるゴルフ場になっている場所もありますが、ウォーキングコースになりながら、そのまま山であり続けているエリアもあります。
現代の生活に合わせて変わるべき機能と保持されるべき機能が程よく融合している様は、日本の都市が調和ある発展を遂げた場合の一つのモデルケースであり、“田園都市”ならぬ“里山都市”とでも呼ぶべきものです。
里山は、日本の原風景であり、各地で保全活動をされている方々がいます。いろいろなアプローチがあると思いますが、里山が保全されなくなったのは、地域の共有資産(エネルギーとしての薪炭、食料としての動植物の供給源)としての意味を失い、広い意味での生産性の低下が原因の一つとして考えられます。であれば、現代的な意味での共有資産としての価値、生産性を取り戻すことが選択肢の一つになるはずです。
その観点から、三年間活動の中心としてお手伝いをしてきたのが、“笠間ワインの丘”です。協力隊の卒業イベントとして、笠間市農業公社のみなさん、当日のイベントのインストラクターやスタッフの方々、そして、仲間である笠間市の協力隊の面々のご協力をいただき開催できた「笠間ワインの丘 2019 畑開き“春の里山 まほろば縄文祭”」が、新しい里山を考える一試案として、今後に繋がっていくことを願っています。そして、引き続き参加したいと思います。
もう一つは、“天狗”です。岩間地区にある愛宕山は、平田篤胤の「仙境異聞」(最近、現代語訳が文庫になりました。ご興味ある方は、ぜひ、ご一読ください)で、天狗小僧こと寅吉が修行した山として有名です。昨年、「十三天狗の伝説 笠間の栗稔力祭」のお手伝いをした時に、調べてみましたが、なんとも捉えようのない不思議な存在です。今、忍者がブームのようですが、次はきっと天狗がきます。もうしばらく天狗とおつきあいしたいと思っています。
特急の駅があり、高速のインターも常磐、北関東道と2箇所ある交通の中心友部地区、里山都市のシンボルとも言える笠間地区、愛宕山をはじめ自然の豊かな岩間地区。笠間市は、特徴ある機能の融合した興味深いエリアです。このような場所で、三年間活動できたことを、改めてありがたく思います。
協力隊の任期は終わりましたが、4月以降も笠間に残って暮らします。火曜と土曜がメインとなる予定ですが、先輩協力隊員の島田さんから引き継いだカフェナナイロにもおりますので、どうぞ、遊びに来てください。
「笠間ワインの丘」からショッピングモールを望む
「笠間の栗稔力祭」:天狗の栗畑で栗を拾う天狗