ビル・ゲイツ氏ら「人工肉」バーガーに追加出資 | ポカポカぷかぷか


 ビル・ゲイツ氏や李嘉誠氏、フェイスブックの共同創業者らが、植物由来の肉の代替品を開発して牛肉のように見えるジューシーなハンバーガーの販売を始めた米シリコンバレーの企業、インポッシブル・フーズの新たな資金調達を支えている。

 新規資金調達は7500万ドル(約82億5000万円)で、シンガポールの政府系投資ファンドのテマセクが最大額を出資し、すでに出資しているゲイツ氏や李氏傘下のホライゾンズ・ベンチャーズとコースラ・ベンチャーズも追加出資に応じた。フェイスブックの共同創業者ダスティン・モスコビッツ氏と妻のカリ・ツナ氏が率いるオープン・フィランソロピー・プロジェクトも、出資に加わっている。

■健康・環境への肉食の影響を改善

 インポッシブル・フーズは2011年、米スタンフォード大の生物化学教授だったパット・ブラウン氏が設立。肉を食べる消費者の食習慣はそのままに、健康の増進と食肉生産による環境負荷の軽減を図るとした。

 同社の最高経営責任者(CEO)であるブラウン氏は、普通の肉と同じような味の植物性ハンバーガーをつくるには、「ヘム」と呼ばれる大豆のレグヘモグロビンが決め手の成分になると考えている。

 遺伝子組み換えされた酵母による発酵を用いてつくる植物性の肉は、人類が数千年にわたって食べてきた肉の成分と「同一」だとインポッシブル・フーズは主張している。

 同社は最近、ヘムの人工肉への利用で特許権を認められ、食品としての安全性を示す研究データを米食品医薬品局(FDA)に提出する計画だ。

 資金調達の総額は2億5000万ドルを超え、新たに調達した資金で事業の拡大を加速する。同社は、カリフォルニア州オークランドで初の大規模工場の開設準備を進めている。

 「ヘム」バーガーが初めてニューヨークのレストラン「モモフク」で提供されてから1年、今では50店近くで売られている。

 デービッド・リー最高執行・財務責任者によると、数週間後にオークランドの工場が稼働すれば、ハンバーガーの販売数は月間数千個から数百万個に増えるという。

 「それにより、単位当たりの経済性とブランドの到達水準が劇的に変わる」と、リー氏はインタビューで語っている。「今年末までに、我々のつくるハンバーガーの一つひとつが、事業拡大の継続を支える利益を生み出すようになる」

 従来の動物性食品に代わる食品をつくり出そうとしている会社は、インポッシブル・フーズの他に、ビヨンド・ミートやメンフィス・ミーツなど数社ある。植物性マヨネーズの「ジャスト・マヨ」で知られるハンプトン・クリークも最近、肉を使わないハンバーガーを開発する考えを明らかにした。