短編小説家のミル貝日記
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2009/03/16

とりあえず、木箱を家の部屋に持ち帰り、中年の宝探しでかいた大量の汗を流すべく風呂場に直行した。。


湯船に浸かりがら生前の父のことを思い出してみた…・・


しかし、思い出せる程の思い出もなく、かえって困惑してしまった。


テストでどんなに良い成績を残そうが、運動会で一等をとり続けようが、幼稚園の入園式から大学の卒業式まで、父に声をかけられた思い出はない…


母の後ろにまるで置物のように寄り添っていた父だった。


2009/03/07

父が書き残していたらしいその地図に記された欅の木の下を掘り起こしてみようと思い、物置からシャベルを取り出して中年の宝探しが始まった。


夏の暑さが残る中の宝探しは困難を極めた。

夕暮れ間近いのその時『コツン』シャベルの先がなにかを捉えた…


掘り起こし周りの泥を取り除いてみると大きめの木箱だった。

父の残した財産

末期癌により、父が死んだ…

延命治療を頑なに拒み死を迎える直前まで病と闘う父の姿は、息子の目から見ても見事としか言いようのない最後だった。

自らの死期を悟っていたのか、死の一週間程前から病院を抜け出し、時代錯誤の唯一の趣味だった伝書鳩の世話をかいがいしくしていたようだ。

その証に鳩小屋の美しさは古ぼけた我が家を遥かに上回って大きな顔しているようにも見える。


そしてこれから、この鳩小屋をどうしようかと考えていたその時、一羽の鳩が小屋に帰ってきた。ふと目をやると、その鳩の足元に筒のような物がついている…

鳩は無機質な瞳を私にむけ、筒の中身を確認するように訴えかけてるように見えた。
中から出てきたのは一枚の地図で、良く見てみると、我が家の庭の地図だった。