その頃、月に一度、大学の先生にも見て頂いていた。

繊細にして大胆な演奏スタイルの憧れのピアニストである。

そのご縁でのちのち私立はこちらの先生の大学を受験させて頂いた。

なんとか、なんとか、舞台に乗せての演奏をお許し頂き、恩師主催の発表会と、一週間ばかり後のコンクール披露演奏会。

2度の大舞台で、その時その時の持てる力全てを出し切る事が出来た。


無事にお勤めを果たして家族(聴衆したのは長女だけだけれど)で喜んでいたのも懐かしい。


この時の演奏は、実はビデオに撮って頂いたようで

発表会後にプレゼントしてもらって目を丸くしたものだ。

もちろんその方からは勝手に撮らせて頂き、申し訳なかったけれど、と謝罪の言葉を添えてくださった。

そのビデオはその後同門の後輩の道標となり貸し出しされていたのもこそばゆい。

その他、聴いて頂いた方の印象に残ったようで、

あまたいる門下生の中で名前を知っていただくことになった、そんなターニングポイントとなった。


我が家ははまだビデオは所持していなく、

その数年後、やっと買い求めた。


最近はレッスンにも録画機能つきで臨む方も多いと聞くが、のんびり母さんは、その頃のレッスンは普段の睡眠不足を補う格好の時間としていた。

いつまで続くポンコツ母さんの道。