プロローグ
走れ、俺。
急げ、俺。
千早に会うためにここまで来たのに、会えずに帰るなんてできるはずがない。
分倍河原駅に着いた。寒そうに、自販機の前で手をさすっている女の子―千早だ。
こっちに気づいて、手をおろして固まった。
「・・・・・あらた?」
「千早、久しぶり。」
「・・・・・なんで東京に来たの?」
「俺、東京の大学に行くんや。だから、東京に住むでえ、挨拶に、と思っての。」
本当は、千早に会うためだなんて、言えるわけがない。ただでさえ、千早に会ってこんなに心臓が音をたてているのに。
「それじゃあらた、ずっと東京に居られるの?大学出たら戻っちゃうの?かるたは?やめちゃうの?太一には会った?太一、この事知ってるの?」
千早は一息にまくしたてて、こっちを大きい瞳を見開いて見つめてくる。こうやって向き合うと、感情が湧き上がってくる。千早とずっと一緒にいたい。「太一」なんて聞きたくない。俺は、千早にとって太一のおまけ程度なのか?そんなの嫌だ。千早が好きだ。今、確信して、決心した。
「千早。」
「・・・・・なに?」
―行け、俺。
「大学出たら、俺と、結婚してください。」
「・・・・・・・・・・ふへぇ!?」
千早は口をあんぐり開けて、今度は目をパチパチさせて、みるみる涙が浮かんできた。
「・・・・あらたぁ・・・・わたし・・・ずうっと、あらたのこと、好きだったよ。でも・・・なかなか会えないし、だんだんあらたが知らない人みたいに、神様みたいになっちゃて、あたしをおいてっちゃって・・・でも、でも、これからは、ずっと・・・ずっと一緒にいられるんだよね?あたしでいいんだよね?」
涙声の問いかけに迷わず答えた。
「俺は千早が好きや。千早でええんやなくて、千早がええんや。」
「あ、あたしも、あらたがいい!!あらたが好き!!」
こうして、俺と千早は始まった。
18歳の冬だった。
すみのえの プロローグ
~あとがき~
福井弁、難しいです。
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ララ
