小柳の夏、日本の夏──あの懐かしい香りとともに
毎年、夏になるとふわっと鼻をくすぐる“あの匂い”に、懐かしさを感じる方も多いのではないでしょうか。大人から子供まで、脳裏に焼き付いているあの香り。
そう、それは金鳥の蚊取り線香の香り。昭和の夏の風物詩ともいえる、あの独特の香りとともに、記憶に残っているのが金鳥のテレビCMです。
特に1970年代から80年代中盤にかけて流れていたCMは、日本の夏の情緒を美しく切り取った作品でした。そして、その主役として登場していたのが、若き日の小柳ルミ子さん。
清楚で凛とした浴衣姿が、まさに「日本の夏」そのものでした。
「日本の夏、金鳥の夏」──誰もが知る名キャッチコピー
「日本の夏、金鳥の夏」
このキャッチコピーを聞いて、当時のCM映像が頭に浮かぶという方も多いでしょう。
夕暮れの縁側、そよぐ風に揺れる風鈴の音、そしてゆっくりと立ちのぼる蚊取り線香の煙。
そんなノスタルジックな情景の中に、涼やかな浴衣姿で佇む女性──それが小柳ルミ子さんでした。
ルミ子さんが出演していたCMシリーズは、単なる商品紹介の枠を超えて、日本女性の美しさや奥ゆかしさを映し出す短編映画のようでもありました。
当時の視聴者にとって、その映像は「夏が来たな」と実感させてくれる、心に残るワンシーンだったのです。
清楚と華やかさを兼ね備えた、小柳ルミ子さんの全盛期
小柳ルミ子さんがデビューしたのは1971年、「わたしの城下町」での歌手デビューでした。
デビュー当時から漂う和の雰囲気と清楚な魅力は、当時のCM業界にとって理想のキャスティング。
歌手としての実力だけでなく、女優としても活躍されていたルミ子さんは、その多彩な魅力でお茶の間を魅了していました。
金鳥CMにおいても、その表情や所作ひとつひとつが丁寧に演出され、見る人すべてに「美しい日本の夏」を印象づけました。
まさに“昭和の夏=ルミ子さん”というイメージが、多くの人の中に根付いた時代だったのです。
変わりゆくCM演出、でも変わらない金鳥の存在感
最近の金鳥CMといえば、ちょっとユニークで笑える演出が有名ですよね。
「これ、蚊取り線香のCMなの?」と驚くようなシチュエーションもあったりして、時代の変化を感じさせてくれます。
ですが、1970〜80年代の蚊取り線香のCMには、また別の良さがありました。それは「情緒」です。
風鈴が鳴り、縁側に座り、浴衣を着て、蚊取り線香の煙を見つめる──そんな丁寧で静かな演出は、見る人の心をスッと夏の記憶に引き戻してくれました。
そしてその情景の中で、小柳ルミ子さんの存在は、まさにピッタリとハマっていたのです。
あのCMは、単なる広告ではなく、一編の短編映画のような美しさがありました。
そこに流れる曲も、またCMの美しさに彩りを添えていました。
『みだれ髪』、『ひと雨くれば』やCMオリジナルソングの『誘って誘って欲しいの地中海へ〜(曲名が分かりません)』など、記憶と共に蘇ります。
あの夏を覚えていますか?懐かしい記憶
「昔の金鳥CMは風情があった」
そう感じる方、きっと多いのではないでしょうか。
小柳ルミ子さんが出演していた、あの頃のCMを思い出すと、まるで夏休みのアルバムを開いたような気持ちになります。
あなたにとっての“あの夏”、どんな思い出が、ありますか?
