さかのぼること、10年ほど前。
一生独身だと思っていた私の従姉妹がまさか結婚した。
結婚相手の彼の写真を見たら想定外の美しいルックス!端正な顔だちで、絶対騙されてると思った私は従姉妹のウチに上がりこんだ。
オシャレな部屋とはほど遠いカビの生えたような本を机に大量に積んであるのを見て、なぜ従姉妹がこんなイケメンと結婚できたかが即座に分かった。
なんと彼は派手な見た目とは予想を反し、俳句の先生だそうだ。正真正銘の文学ヲタだったのだ!
私の従姉妹もサブカル系。
どうりで…。
俳句なんて古臭くて着物を着ているお爺さんが教えているものだとばかり思っていたので、ふたりの姿は衝撃だった。
彼も実家は呉服屋さん。
その日は、着物をワードに話が盛り上がり、その場でスラスラと、現実とはかけ離れた俳句をこの先生は作っていくのだ。
世界が一変した。
特に印象に残ったのが、
いざよひや袖はなれゆく袖の音(大森健司作)
という何ともロマンティックな京都の秋の夜らしい俳句だと感動した。
いざよひって何?って聞くと、
「満月の次の日の月のことだよ」と彼は優しく説明してくれた。良夜、十三夜、後の月の話しなど綺麗なことばを沢山教えてくれた。
「手紙にも使えるよ」と、彼は言った。
こうして私が、俳句をまさか大人になって始めたきっかけの日である。
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当時の大森健司先生のお写真。
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