先日、娘が亡くなった直後に
悲しみの真っ只中で「トーマの心臓」を読んだ記事を書きました。
こちらです。
トーマの心臓
 
その後
自死や自傷行為はなぜ起きるのだろう?
人はなぜいじめをしたり、暴力をふるったり
何の罪もない人に危害を与えたりするのだろう?
 
どんなときに何が原因で
理性が効かなくなるのかをずっと考えていました。
 
そんな中で答えを求めて読んだのがこちらです。
娘を亡くしてから半年ほど経った頃です。
 
この本の中で鎌田實さんは人間の理性と本能(脳の暴走)を
「天使とケモノ」と例えて考察しています。
 

 
 
それと同時期に読み始めたのがこちら
手塚治虫さん著「アドルフに告ぐ」でした。
 

 
脳の暴走について何かヒントがあるのではないかと思ったのです。
中毒になったかのように一心不乱になって読みました。
 
主人公のアドルフを中心にそれぞれ関わる人々が
戦争という時代の波に飲み込まれていく様子が描かれています。
 
誰も戦争などしたくてしているはずはないのに
なぜ起きてしまうのだろう?
なぜ理性で止められないのだろう?
 
そんなことに対する答えが見つかるかも知れないと思い
読みふけりました。
 
ちょうどその頃、私は音楽の趣味も
優しい感じの手嶌葵さんの曲から
激しい感じのスガシカオさんの曲へと変わっていました。
 
まさに自分自身の心がコントロール出来ていない状態でした。
そのころとても苦しく、突然スイッチが入り、
号泣したりしていました。
今はそのようなことは滅多にはありません。
 
マンガが好きな私ですが
大人になった今は手塚治虫先生が一番好きだと感じます。
 
手塚先生の著書はたくさんあるので
私が読んだことがあるのはその一部でしかありませんが、
「火の鳥」「ブラックジャック」「ブッダ」「バンパイヤ」
等を読んだことがあります。
 
手塚先生は
人の心を科学、医学、文化、宗教等様々な側面から捉え、
見つめ続けた漫画家なのだと思います。
 
「鉄腕アトム」などは、この現代にまさに話題になっている
「AI」のはしりを扱った作品だと思えます。
よくよく考えると深いことが書かれているようです。
 
手塚氏は
「アトムは完全ではない。なぜなら悪い心を持たないから。」
(良い心と悪い心を持つことが完全)
という言葉を遺しているそうです。
 
今、世の中には
「アドルフに告ぐ」に書かれている時代のような
不穏な空気が流れている気がします。
 
紛争や難民問題、人種差別に貧困など
様々な問題が起こっています。
どんなに科学や医学が進んでも
人の心や脳のしくみまではまだまだ解明されていない部分が
大きいのだと感じます。
 
娘の死を通して
人の運命や人生、生き方を深く考えさせられています。
 
 
蛇足ですが、このころ同じように
「2001年宇宙の旅」がどうしても気になり
こちらも観ました。
 
「アドルフに告ぐ」の映画化を以前から切望していますが
未だに映画化の話は無いようです。
スケールが大きすぎて難しいのでしょうね。
残念です。
 
古い漫画や映画の中には
何十年も経つ現代にも通用するような
時代の先を見通した作品が多くあるように感じます。
「2001年宇宙の旅」も現代に通じる人とコンピュータの
関係を描いているように思えるのです。
 
 
堅いお話で失礼しました(^_^;)