先日久々にブックオフに寄った。
百円コーナーにまっしぐら
半額本は買わない
それはアマゾンの中古の使い方を知ったからだ
百円には大した本は無かった。
ところが宮城谷昌光の「海辺の小さな町」
という本が目に入った、
買おうと思って抜き出して
下段に置いておいた。
一人の中年のおばさんが私の傍に立つ
広いのになんで隣に
宮城谷さんの本が見当たらない
「ここにあった本知りませんか?」
「あッ あなたが選んだんですか」
本は中段に収められていた
入店から三分間の出来事だった。
これが妙齢な女性なら
<運命の出会いか!>
などとブログに書くのだろうけど
五十女にはなんの印象も無い
宮城谷さんは下積みが長く
その間にずっと漢学の研究をなさったらしく
文体は精妙・精緻に漢文を研究されて
史記・重耳・晏子・楽毅など聞いた事も無い人物
の小説を書いておられる。
この漢籍の知識はまるでエベレストみたいだ。
すなわち真似ようとも思わせない高みだった。
「風は山河より」でやっと日本を舞台に
戻って来られて読む方も一息ついた。
青い海とオレンジの瓦の家並みの表紙が
私を引き付ける
「海辺の小さな町」
ぱらぱらとめくると
恋愛もあるような小説を書いておられる。
宮城谷さんの恋愛小説か
それも百円
胸が高鳴った
どんな文体で書くのだろう
昨晩は七時にベッドに入った。
老眼鏡も準備して
/
新幹線を浜松で降りる
舞台はわたしが最初の妻と
出会った街
そして豊橋
山一證券の豊橋支店に野球の対抗試合に
よく行った。
家康が生まれた城
新幹線で出会った美しい女は
同じ豊橋まで行く。
なにが起きるかとわくわくする。
主人公は豊橋の大学
山一證券寮の同室・蒲郡のM君は
たしか豊橋高校
ここから小説は(がらがらと崩壊)し始める。
写真部に入るのだが
ながながとカメラの説明
新幹線の美女が2/3のぺ―ジを
過ぎても出て来ない。
喫茶店や下宿の娘
お目当てで無い女ばかりにページを
取られる。
結局あと十ページまで読んで中止
これがあの「孟嘗君」を書いたと
おなじ作家であろうか。
せめて穂高に登るつもりが
高尾山だった。
恋愛小説はひょっとして俺の「鎌倉物語」の方が
面白いのでは、なんて/
俺の高さは「富士見台」
せめて 講談社の文庫本にならないか。