福島原発事故を受けて、オーストラリアでウラン採掘に従事する原住民のアボリジニー達が良心の行動を取っているニュースです。

世界には、遠い所の問題も自分のことのように感知できる人々も大勢います。


オーストラリア、インディペンデント紙の記事より

Aborigines to block uranium mining after Japan disaster By Kathy Marks in Sydney Thursday, 14 April 2011

原文
http://www.independent.co.uk/news/world/australasia/aborigines-to-block-uranium-mining-after-japan-disaster-2267467.html


先月起きた福島原発の放射能漏れ事故の後、オーストラリア北部、ミラール地方の先住民アボリジニーの人々が、ウラン開発に制限を設けるべく立ち上がった。

オーストラリア原住民のアボリジニーが本来の土地の所有者となっている北部のミラール地方では30年以上に渡ってウランの採掘が続けられている。このウラン鉱脈から世界中へウランが輸出され、その中には今回事故を起こした東京電力も入っている。


この地方の長老であるイボンヌ・マーガルア女史は、国連のバン・キムーン事務総長に宛てた手紙を書いて、日本の人々に対して深い同情の気持ちを伝えるとともに、核開発の即時見直しの緊急性を訴えた。


「日本は長年の取引先であり、今回の事故に関して、私たちの土地から採掘されたウランにも責任の一端があります。それは、私たちにとってとても悲しいことです」


彼女は今回の事故を受けて、世界最多のウラン埋蔵量が見込まれる鉱脈の一つであるジャビルカでの採掘作業に再度反対する決意をしたことを伝えた。

ジャビルカでの採掘は始まっておらず、世界遺産に登録して国立公園として保存する要望も伝えた。


ウラン採掘はこの土地で数々の問題を起こしてきた歴史がある。

巨大多国籍鉱業複合体リオ・ティント社(※ロスチャイルド系)の子会社オーストラリア・エネルギー資源会社(ERA)が運営するレンジャー鉱脈では、原住民の意に逆らった開発が進められてきた。

ジャビルカでは、ミラールにおける数千人の封鎖活動が8ヶ月続いた1998年以降、開発計画が一時中断されている。

この土地の所有者として、原住民達はこれまでに2億オーストラリアドル以上の使用料を受け取ってきた。

マーガルア女史は、2005年の国会喚問においてウラン開発から懐に入るあぶく銭のせいで、彼らの生活がすっかり様変わりして、アルコールの濫用や諍いが絶えなくなったことを訴えている。


彼女はつけ加える。「ウラン開発は私たちの土地を破壊してしまった。川は途絶え、汚染された岩の丘や汚染された泥が詰まった穴ぼこだらけの土地になってしまった」


世界遺産に登録されているカカドゥ国立公園の境界にあるレンジャー鉱脈とジャビルカは世界遺産の登録地からは除外されている。
もし、ジャビルカのウラン開発が始まることになれば、土地を持つ70名の人々はオーストラリアの最富裕層に入ることになるが、原住民たちは、土地が永久に保護されたままになることを望んでいる。


彼らのウラン開発に対する反対運動は2005年から続いている。


マーガルア女史は、エイジ紙の取材に答えた。「夢を通して伝わったとされるミラールの伝説にあります。もし、この土地が侵されたなら、ジャンという名の死をもたらす力が解き放たれることになるだろう」

彼女の父トビー・ガンゲールは、レンジャー鉱脈の開発が始まった1970年の末、オーストラリア政府に警告しています。


「ジャンが世界中を滅ぼすことになるかもしれない」

彼女は振り返る。


「その警告には誰も耳を傾けなかった」


オーストラリアは世界最大のウラン埋蔵量を誇るといわれ、南部のオリンピック・ダム鉱脈には大量のウランが眠っていることが判明している。

ミラール地区の住民が、お金に惑わされずに土地を手付かずのままにしてくれることには不安がつきまとうが、希望も見える。昨年、カカドゥ地区にウラン鉱脈の土地を持つジェフリー・リー氏は、国立公園に自らの土地を寄付している。
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オーストラリアは、世界では数少ない原発のない先進国です。


しかしながら、日本の原発推進が、愛すべき先住民族”アボリジニ”の人々の生活を混乱させてきたのですね。


それにしても札びら攻勢に屈することなく、大地を守ろうとしてきた彼らの心意気には感銘しました。