予定日の6月20日を過ぎたため、6月24日に促進剤を使用することに。
その日の午前中は、僕は仕事だったため、ちぺちゃんは、お義母さんに付き添ってもらい入院。
1時過ぎに僕が病院にかけつけたときは、陣痛が少し進んだところだった。
「う~ん・・・!」
ときどきやって来る痛みに唸る千絵ちゃん。
しかし、「横になっていても産まれないよ!」という伯母の言葉をここで思い出し、ちぺちゃんは「アクティブチェアー」に座る。
午後2時ころ。
促進剤の量が少しずつ増やされたことと、アクティブチェアーの効果もあってか、陣痛の波が大きく、そして間隔が短くなってくる。
「ふぅーーーーー!!ふぅーーーーー!!」
マタニティーヨガで教わった呼吸法を生かし、上手に「いきみ逃し」をするちぺちゃん。
僕は、テニスボールでお尻のあたりを抑えたり、一緒に「ふぅーーーー!」と合わせて呼吸する。
どんどん陣痛が大きくなる。
診察して子宮口が拡がってきたので、再びベッドへ。
助産師さんが4人くらい来た。
ここで、助産師さんたちが慌て始めた。
「○○先生呼んできて!」「もう連絡してます!」「まだなの!?」「緊急だって言って!!」
一体・・・何が起きているのか・・・!?
赤ちゃんの心拍が下がっていたようだ。
へその緒が首と肩にたすき掛け状態でからまっていたらしい。
赤ちゃん自体はかなり下がってきている。
しかし・・・子宮口はまだ8センチしか開いていない。10センチが「GO!」の目安だ。
「どうする!?」「○○先生なら、やるって言うと思うな・・・!」
そんな助産師さんたちの会話が聞こえてくる。
気付けば、10人くらいの医師や助産師さんが集まっていた。
「よし!9センチ!!!」
「やるよ!!」
その声をきっかけに、医師のうちの1人がちぺちゃんのお腹の上に乗っかり、お腹を押す。
他の医師らは、赤ちゃんの頭を吸引している。
子宮口を切るためのハサミが僕の視界に入った。
もう僕は、助産師さんの指示に従い、ちぺちゃんと一緒に深呼吸したり、いきみのタイミングをちぺちゃんに伝えることくらいしかできない。
無力だ。
「先生がお腹を押す力に負けないで!」と助産師さんの激が飛ぶ。
「あぁーーーー!!!!」思わずちぺちゃんは悲鳴に近い声をもらしてしまう。
「ダメ!声は出さないで!!」と助産師。
せっかくのいきみが逃げてしまうのだ。
マタニティーヨガで教わったいきみの姿勢で最後の力を振り絞るちぺちゃん。
3,4回くらいいきんだ時・・・、赤ちゃんの頭が見えた・・・!
僕は嬉しくなって、ちぺちゃんに叫んだ。
「頭が出てきたよ!!あともう少し!!!」
・・・6月24日15時32分。
「産まれたよ!!!」「お疲れさん!!!」
助産師さんの声が飛び交う中、出産直後のちぺちゃんが、息を切らしながら、真っ先に確認した。
「赤ちゃんは!!!!!?」
少しの時間があった後・・・、小さな、でも、精一杯振り絞った声が聞こえてきた。
「ア゛ギャァーー!ア゛ギャァーーー!!」
「泣いてる!!良かった…!!!」
大仕事を終えたちぺちゃんは、そこでようやく安心したようだった。
僕は、涙と鼻水が出っぱなしだった。
「ありがとう…!お疲れ様…!頑張ったね…!」
そう声をかけるのが精一杯。
そして、ちぺちゃんが待ち望んでいた「カンガルーケア」。
お互いの胸をくっつけて。愛おしい眼差しで。
ちぺちゃんが・・・もう母親の顔になっていた。
そうだよね。
何ヶ月もの間、一つの体で二人一緒に過ごしてきたんだもんね。
母と子の、とても深い結びつきのようなものを、そこに感じた。
「命のつながり」なんて、今まで意識したことがなかった。
でも、確かにここに存在している。
ちぺちゃんと、僕と、その親や、さらにその先祖から代々受け継がれた命が。
初めまして。
産まれてきてくれてありがとう。
一緒に、生きていこうね。

