※今日は何位でしょうか?


今日の日経新聞。インタビュー領空侵犯という連載で

インタビューされていたのは、伊藤忠商事会長の丹羽宇一郎氏。

僕がもっとも尊敬する経営者の一人でもあります。


最近、NPOというのものに興味を持ち始めていたのですが、

そのタイミングで、丹羽氏のNPOに関するコメント。

すごく、印象に残る内容だったので、忘れないうちに書いておこうかと。


曰く、

「一般的に社会に貢献したいというおもいばかりが熱く、

 肝心のマネジメントが弱い。寄付を集めるにもノウハウもなく、

 どうしていいかわからないように感じます。(中略)NPOの

 発展のためには経営手法を導入する必要がある」

「NPOと株式会社の違いはその利益の配分法です。株主に

 配分するのが企業。貧しい人、弱い人を支援するという志、

 使命に沿った事業に再投資していくのがNPOです。

 (中略)利益を上げるNPOを罪悪視したり、経営を

 毛嫌いするのはおかしい」


そうですねえ。

僕もNPOと聞くと、惹かれつつも引いてしまうところがありました。

なんでかっていうと、「清貧」のイメージがあったから。

僕は、そんなに人間ができておりません。

世界平和と家族の幸せ、どちらが大事かと問われれば、家族の幸せなのです

(そして家族の幸せを実現するためには、世界平和も必要なのです)。

NPOというと、つい、自分や家族を犠牲にして云々、という、

ものすごくうがった見方をしている面がありました。


そもそも、NPOにせよ、会社にせよ、長く継続してこそ

初めて意味をなす、という面があるはずです(もちろん特例もありますが)。

人間が物事を長く継続するのに、僕は二つの要因、少なくともどちらかが

必要ではないかと思っています。

つまり、

・やっていることそのものが楽しいからずっと続けられる

か、

・やっていることの先に希望が見えるから、それに向かってずっと続けられる

の、どっちか、あるいは両方。

そうでなければ、どうしても人間というのは楽なほうになびいてしまうのかと。


一定以上の「何か」を成し遂げるには、

一人では困難、当然ある程度の人数が必要になり、組織となるわけですが、

どんな組織においても、やることそのものが楽しいか、その先に希望があるか、

どっちかがないと、マネジメントはつらい。

むしろ、楽しいだけだと、飽きちゃうかもしれないし、ふとむなしくなるかもしれない。

そう考えると、その先に希望がある、というのが一番強い気がするわけですが、

それが、「世のため人のため」だけだと、大半の人はやっぱりつらくて、

「自分のため」の希望も必要なんじゃないか、とおもうわけです。


さらに、

どんなに理念が崇高であっても、現代社会においては、

端的に言えばキャッシュが枯渇したら継続できないわけで。


このあたりのことは、株式会社かNPOか、ということは関係なく。

組織で事業に取り組むってことは、つまりそういうことなんでないかと。


で、まあ、結局、会社とNPOは何が違うかって言うと、

その利益の配分法だ、というわけですね。これで実にすっきりしました。

つまり、仮に自己資本を全く投じずに株式会社を営むとするとすれば、

その利益の配分先が異なるだけ。その配分先に与える利益に対してのみ

報酬を受け取るとすれば、それが会社であってもNPOであっても、

受け取るべき報酬というのは全く同じだってことになります。

(まあ、その場合は、IPOで一気に大金持ち、というシナリオは

 描けないわけですが)


ということは、

NPOを経営して大金持ちになったっていいわけですよね。

それと同等以上のすばらしいものを世の中に提供していれば。


「会社法ができてまだ120年というわずかな歴史です。企業という

 形が21世紀の唯一絶対の組織とは思えませんね」

「一方、NPOは上場する必要もないし、株主に利益を配分

 しなくてはならないということもない。個人や企業から集まる

 民間寄付をもとに事業を展開し、リターンは一般市民に

 還元されます。当然、組織として強くなる。社会的責任を

 自覚する人、寄付を生きがいとする人、地域のために尽くそうと

 思う人、そんな人たちがNPOに集う。こういう組織のほうが

 企業にかつのではないか。NPOが企業にとって代わる

 時代が来るかもしれません」


聞き手のコメントにもありましたが、企業とNPOの垣根が

最近はどんどん低くなっています。

企業とNPOを比較するのではなく、その両方の強みを活かした

組織が、どのような形態であれ、残っていくのかな、と。


(NPO黄金時代が来るとしたら最大の課題は?との質問に)

「一番大事なのは信用、信頼です。透明性と情報開示が

不可欠でしょう。(中略)説明責任を果たさないと、NPOは

成り立たない。企業以上に信頼性が求められます」


インターネット株取引の発展で、個人投資家という存在が

増えてきました。影響力も大きくなってきています。

そして、投資対象も、株や国債だけではなく、

音楽であったりゲームであったり、さまざまに

なってきました。また、社会的責任投資など、

投資に対する考え方も多様化してきているようです。

投資そのものが一般的になってきたことを

考えると、NPOが資金を集める可能性というのも

十分に考えられるような気がします。


株式会社なみの強い財務体質や資金力、

それでいて社会貢献性がNPOと同じくらい強い。

経営も、手堅く、着実に。すると、

最強の組織が出来上がるような気がします。


僕たちは制度上、株式会社ということになってますが、

そういう組織を目指したいな、と思うわけです。

大きくならなくてもいいんで。


当然、自分も豊かになりたいです。


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