日本では、一従業員が、自分の友達を自分の会社に

誘う、ということはあまり一般的ではなさそうですね。


実は、アメリカでは、結構一般的な話のようです。

そして、実際に社員の紹介によって入社した場合、

紹介した社員に報奨金を支払うというのも割と普通。


そして、そういうルートで採用するのが、最も効率的で

かつ早期での退職率が低いんだそうです。


そりゃ、そうですよね。

実際に中で働いている友人から、面接などを

受ける前の段階で会社の雰囲気や仕事の様子を

聞くことができるので、ミスマッチがあまり起こらない。

かつ、会社の側から見れば、すでに社員として

実績を挙げている人間からの紹介ということで、

精度も自然と高くなる。


さらに、人材を採用するというのは、たとえ一人であっても

結構コストがかかるものなんです。求人広告を出して、

あるいは人材紹介会社に依頼して、実際に候補者を

集めて書類や面接で絞る。お金だけでなく手間もかかり、

ときには現場の社員の仕事をとめなければならないということで、

本当に大変なことなわけです。


その、コストも手間も大幅に省いてくれる、同僚誘致。

転職というものが一般化するにつれ、同僚誘致という手法が

日本でも広がっていきそうな気がします。


職業安定法という法律の壁があって、実際に紹介した

社員に対してどのようにインセンティブを還元させていくか、

まだ研究の余地はあるのですが、おそらく社員は、

そのインセンティブがあるから社員を紹介しよう、と

ダイレクトにおもうわけではなさそう。

ただ、会社として、いい人材がいたら候補者として紹介してください、

という姿勢を明確に打ち出すことで、採用の幅は広がるのではないかと

思います。


かくいう私、生命保険会社時代は、営業課長をつとめたわけですが、

とりわけ目立てた、というか、周囲に対して、まあ、結果を出したぞ、

といえるポイントの一つが、採用でした。


保険会社の営業課長は、保険契約高について責任を負うと同時に、

自分の担当する組織の拡充にも責任をすべて負います。

労働集約型産業の典型のような、保険営業の世界。

業績アップのため、営業職員の採用まで自分でやっていいとなれば、

そりゃあ、やらない手はありません。


実際に、出世した、つまり、熾烈な社内競争を勝ち抜いて支社長に

なった方のパターンを見ていると、どの方も、組織の拡充、つまり

職員の採用・純増に成功していたのではないかと思います。


結構高額な経費を自由に使ってよかったわけですが、

私はそのほとんどを採用のために投じたといっても過言ではありません。

ただ、最初は湯水のように求人広告費を垂れ流していましたが、

いまどき、求人広告を見て保険の営業やりたいなんて人はいません。

ので、同僚誘致という手法が非常に有効だったわけです。


営業職員のみなさんの職務は、当然ながら、保険契約の獲得です。

採用活動は、あくまで、プラスアルファの仕事。もはや、職員の

好意にすがるレベルです。


そこで、私がまず最初にやったことは、職員の採用活動を正当化することでした。


打ち出した営業課のビジョンは、

「魅力ある営業課にしよう!」


なんともざっくりしてますが、

「魅力ある=仲間が増える」

と勝手に定義づけしたわけです。


そうして実際に知り合いをつれてきてくれて、

採用したい人であれば、私が面接で、口説く。


実際に入社したら、組織ぐるみで教育・サポートする体制も大切です。

これも、僕自身よりも営業や保険のことをわかっている

ベテランがたくさんいて、かつ彼らは若い知り合いがあまりいないので

候補者をつれてこられないですから、

新人の育成という形で、組織に貢献してもらうわけです

(ここでも、私じゃ役不足なんで○○さんが頼りなんです、的な

 お願いがかなり効きました)。


新人でも、仲間を連れてくれば先輩が面倒見てくれる、そう思えば、

また新しい仲間を連れてきてくれます。そうした連鎖ができてきて、

当初14名でスタートした課は20名を超えることになりました。


昨年度はぎりぎり課の営業目標は達成できなかったものの、

今年度は、上期の優秀組織に選ばれたほか、いまでも東海地区で

月次1位を獲得するなど、僕が抜けたいまでも、組織の成長は

続いているようです。うれしい限り。


まあ、それはいいとして、特に営業を重視する組織は、

同僚誘致という方法を強くオススメしたいところです。

すごく原始的な気もするかもしれませんが、アメリカではむしろ、

戦略系のコンサルティングファームなんかも、こういう方法で

採用していたりします。一考の価値はありますね。


仲間が仲間をよんで、連鎖的に組織が拡大していく。

私はこれも、ビジョナリーカンパニーの一つの姿だと思います。

よきビジョンとその実行がなければ、人は集まりませんから。


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