いま勤務している会社に退職を告げるとなると、

どうしても退職理由を説明せざるを得ません。

ものすごく忙しくて、一人でも抜けると業務が大変、

なんていう会社ならなおさらです。


だいたい、30人くらいの規模までの会社であれば、

熱い引止めにあうことは十分に予想されますね。


実際、朝からそのハナシをし始めて、終わったのが

夕方だった、みたいなハナシはしょっちゅう聞きます。

私の場合、幸いにもそういうことはなかったですが。


こうした退職交渉の際、スムーズに終えるには

ちょっとしたコツがあります。


その会社にいては、絶対に得ることのできないものを

この転職によって得ることができる、

という ハナシをすること。


それはたとえば、

給料が2倍ということでもいいですし

(金がすべてじゃないだろうという反論をされることが

 ありますが、じゃあ、あんた払ってくれんのか、

 とい反論ともいえない反論で切り返せますね)

残業がまったくないということでもいいですし

(この場合は、打ち込みたい趣味とかあれば、

 より 説得力が増しますね。あなたは私の人生で

 最も大切なものを奪いたいんですか、という

 いやな質問が可能になります)

とにかく昔からやりたい仕事に、偶然就くことが

 できることになった、というのでもいいですし

 (これが一番早いし無難ですね)。


 ちなみに私は、 一回目は給料(年収は150万くらいあがりました)

二回目は、どうしてもやりたいことがある、 というのを理由にしました。

一回目の理由は本当ですが、二回目は、 別にも会社には

言っていない大きな理由がありました。

その理由については、会社に言ってしまうと、もしかしたら、

改善するから残ってくれ、といわれる可能性のある理由でした。

しかも、そのときそう言われても、あとで、やっぱりナシね、

なんてことにもなりかねないものでした。

だから、言わなかったのです。


むしろ、転職理由というのは、

本当に大きな、なにか譲れないものが一つあれば、

それで十分な気がします。


そして、その譲れないものが、どう考えても

今の会社にいては実現できないものであれば、

退職理由としては完璧ですね。


仮に、なんとか慰留使用とする上司が、他の

視点から「残ってくれ」と言い続けてきたとしても、

「一緒に働きたいのは山々ですが、でも、

 これだけは譲れませんので」

と、切り返せますから。


だから、退職理由については、

それを全部を話す必要なんてありません。

その理由を話さなければ退職させない、

(退職届を受理しない)なんていうのは

明確な労働者の権利侵害ですので、

内容証明郵便などで一発で縁が切れます

(あまりおすすめしませんが)。


むしろ、一番怖いのは、 説得されることで情に負け、

転職の意思を翻してしまうことです。

特に、相手がいろいろと目をかけてくれた上司であれば

なおさらのこと。


その上司の視点に立てば、部下がやめるというのは、

本当につらいことなのです。特に、自分が面接して採用し、

いろいろ教育した部下であればあるほど。

それは、せっかく教育したのに、とかいう損得の問題ではなく、

一緒に働いて楽しいからこそいろいろ教育した、

そういう思い入れのある相手だからです。


僕はそのつらい思いも経験しました。でも、もっとつらい思いを

上司にさせたかもしれません。

前職では、生保営業のまさに核である営業課長に最年少で

就任して1年半、やっと半人前くらいになって、さあこれからだ

というときの退職。あれ、やられたらたまんないなあ。

そういう気持ちを引きずりながらも、自分の譲れないものを

優先させました。転職とは、そういうものなんだと思います

(もちろん、あんな会社やめてせいせいした、あるいは、

 あいつがやめてくれてよかった、というケースもないとは

言いませんよ)。


ただ、それで結局、転職しないという結論を出すと、

その結果むしろシアワセになる人もいます。

でも、それで大きなチャンスを逃した人もたくさんいます。


そこまでひっくるめて、転職というのは本当に大きな選択を

強いられるテーマです。


(以前mixiで書いたものを加筆・編集しました)