どうして、子どもというのは、どいつもこいつも「アンパンマン」が好きなんですかね。


連休や夏休みになると、スーパーや遊園地でアンパンマンショー(着ぐるみ系)が

開催されてますが、ショーのあとの握手会(そもそも着ぐるみきたバイトと握手して

いったい何の意味があるんだ?)なんか、韓流スターに群がるおばさまよりも、

圧倒的な迫力でガキどもが囲んじゃってます。


我が家の姫も、例外なく、アンパンマンが好きです。

生まれたときからビデオなる文明の利器が身近にある最近の子供は

(残念ながら我が家はいまだにDVDが導入されておりません)、

朝からあきもせず、アンパンマンのビデオ(たまに「おかあさんといっしょ」)を

何回も見てるわけです。何の思考力もない大人になってしまうのではないかと、

若干心配です。


アンパンマンというアニメには、実にたくさんの種類のキャラクターが出てきます。

が、ストーリー構成は、以下のとおり、毎回ほぼまったく同じ。

何かしら新しいキャラクターが登場

→ばいきんマンが私利私欲のために何かと邪魔したり監禁したり。

→そこにアンパンマンが登場、戦いの開始

→ばいきんマンの攻撃により、「顔が濡れて、力がでな~い」

→メロンパンナちゃんなどのサブキャラが、ジャムおじさんのもとへ。

→「大変だ、バタ子、新しい顔を焼くよ」byジャムおじさん

→新しい顔が到着、「元気100倍、アンパンマーン」

→「あんぱーんち!」「ばいばいきーん…」

ちなみに、ばいきんマンの私利私欲というのは、

かしわ餅をたくさん食べたいだとか、かわいいパジャマがほしいとか、

まあ、そんなもんです。3歳児でも、十分理解できるレベルですね。


よくもまあ、毎回同じパターンを飽きずに見続けるな、とおもうわけですが、

展開がわかりつつも、いつも楽しんでいる娘の様子は、

実は、父とかぶる部分があります。


僕は小学生のころ、月曜の午後8時から9時は、見たい番組が見られませんでした。

なぜなら、我が家は、必ず「水戸黄門」か「大岡越前」が放映されていたから。

なんでまあ、毎回こんなにひねりのない番組がいいのかね、と父に聞いたら、

このわかりやすさがいいんだ、考えなくていいから、との答えが返ってきたことがありました。


いわれてみれば、もっともかも。

考える、って、疲れることなんですよね。

だからこそ、アンパンマンでも水戸黄門でも、サザエさんでもドラえもんでも、

シンプルな、わかりやすいストーリーを持つ番組が、

長く国民に支持されたんですね、きっと。


仕事で帰ってきて疲れていて、あるいはせっかくの休日に、

娯楽番組で深く考えさせられるのは、考えてみれば、ちょっといや。

かしわ餅がたくさん食べたい、というのが、

越後屋、お主も悪い男よのう…に変わっただけで、

根底に流れる「正義は勝つ」というシンプルなメッセージは変わらないわけですね。


そんな、ただでさえ仕事で疲れてるんだから(日本人は勤勉なのです)

それ以外のことであまり考え事をしたくないんだよ、という日本国民の性格を

的確につかんだのが、今回の選挙における小泉陣営の戦略だったんですね。

選挙のように、本当に大多数の人間にメッセージを送るには、

シンプルであればあるほど、伝わりやすいってわけだ。


民主党にはがんばってほしかったのですが、なにせ、論点が良くわかんないし。

いや、マニフェストとか、ぎっちりちゃんと読めばよかったのかもしれないけど、

こちとら退職だ、引越しだ、入社だと、忙しかったんだぞ、このやろう。

残念ながら、僕には何を言いたいのか、いまいち理解できませんでした。

そして、理解できないのに支持することはできません。

むしろ、共産党は主張がはっきりしていてシンプルでわかりやすく、

野党としての仕事をきっちりと果たしていたような気がしますね。


シンプルだから理解される。

理解されるから、記憶に残る。

記憶に残るから、支持される。 ということですね。


これって結局、1対1のコミュニケーションでも同じだと思いますよ。

長い時間しゃべってたけど、結局何を話したんだか、よく覚えてないことありますよね。

ま、日ごろからそんな熱いメッセージの交換をする必要があるわけじゃないです。

たとえば、就職活動・転職活動の面接においては、あなたが

どんな人だったか、憶えてもらえないと意味がないんですね。

じゃないと、たとえば面接官が社内で面接の結果をフィードバックするときに

上司に「どんな人だった?」と聞かれて、答えられないじゃないですか。

そうすると、フィーリングがすごいあったとしても、その面接官は、

上司に推薦しづらくなっちゃうじゃないですか(…自分の経験です)。

確かに一番大切なのは、フィーリングですが、さらにそれが、

社内で伝えやすい形だと、なおいいわけです。

奇抜なファッションで記憶に残るより、できれば志望動機などで記憶に残るほうが、

面接官が社内で推薦する際に説得力を発揮するわけです。


面接官「こういう理由で我が社に入りたいそうですよ」

上司「おお。いいじゃないか、次の面接セッティングしてくれ」

みたいな。

 ※実際、社内のやりとりはここまでシンプルじゃないですよ。


面接に臨むにあたって、シンプルな自己PRや志望動機

用意していますか?

できれば、10文字前後。単語ひとつであらわせるのが理想です。

それで、あなたという人物が理解され、記憶に残り、支持されるんです。


僕の転職動機?

2回とも、「家族を幸せにしたいから」です。約10文字(字余り)でしょ。