暗い洞窟の中に赤く輝く結晶を見て
「…きれいだ…」
とつぶやいていた。
結晶は心臓の音と同じ間隔で鳴動し、暗い洞窟の中を照らしている。
少年(ロイ)が不意にその結晶に触れたときより一層強くまばゆい光に包まれた。
ロイはどうしてこうなったのか思い出していた。
時は遡ること2時間前。
ロイはいつものように起き家族と朝食を取った後、
幼馴染の少女(ミィナ)と話していた。
ロイはいつもミィナに冒険がしてみたいと語っていた。
ミィナも綺麗なお城や湖なんか見てみたいと話していた。
そんなやりとりからこの物語は始まる。
ロイ:「ミィナ、皆があっと驚くような冒険してみたいよな」
ミィナ:「私は冒険するなら綺麗なお城とか見てみたいわ」
ロイ:「えー、冒険なら断然カッコイイ騎士でしょ」
ミィナ:「それってハウゼン様みたいな騎士ならいいけど、ロイにそんなのできないよ」
ロイ:「そんなことないさ。でもアレス様みたいな精霊騎士なんてのもいいよなー」
ミィナ:「無理無理。ロイには無理だって」
ロイ:「そんなことないよ。よーしじゃあ証拠に火竜のほこらで何か取ってきてやるよ」
ミィナ:「もー。どうなっても知らないよ」
村に流れ込む川を上流側に上っていくと崖に差し掛かる。
崖を右手にして、崖の沿って歩いていくと人工の建造物が見えてくる。
その建造物こそ、火竜のほこらだ。
火竜のほこら。
竜の彫像が置かれていることからそう名付けられているが、
中には盗掘された後があり目ぼしいモノは何もなく、
祭壇らしきものもないため、近くの住民も誰も近づかず荒れ放題となっている。
ロイは一人で日が昇っている内に火竜のほこらにやってきた。
鞄にはきずくすりや昼食のパン、たいまつなどを入れている。
入口に差し掛かり、薄暗いほこらの中に見て、怖さが膨れ上がってきた。
入口で立ち往生していると後ろから聞きなれた声がした。
「何よ、偉そうに言ってた割に全然中に入れてないじゃない」
後ろを見ると、ミィナが立っていた。
ロイ:「今から入るところだったんだ。」
ミィナ:「どうだか。心配だったから見に来たんじゃない。入らないの?」
ミィナがニヤニヤとロイを見ている。
ロイは安堵とともにふてくされた顔をしながら答えた。
森の鳥たちがざっと飛び立った。
ミィナが悲鳴を上げてロイにしがみつく。
その時大きな地震が起きた。
ロイ:「うわぁぁぁーー」
ミィナ:「いやぁぁぁーー」
数秒後地震は収まったが二人はうずくまり、動けずにいた。
ミィナ:「ねえ。怖いから帰ろうよ」
ロイ:「まだ何も見つけてないだろう」
ミィナ:「そんなこと言ったって。こんな地震が起きたら中も危ないよ」
ロイ:「大丈夫だよ。ほこらだって何も変わってないじゃないか。きっと大丈夫さ」
ミィナ:「もう知らない」
ロイはたいまつを片手に中に入っていく。
一人残されたミィナはたまらず、追いかけて中に入った。
ロイ:「何だ。ミィナも来たのか」
ミィナ:「ロイ一人じゃあ危ないでしょ」
ミィナは顔を膨らませながら横にプイっと向く。
ロイはやれやれという仕草をしながらミィナに話しかける。
ロイ:「ミィナ、一緒に行こう」
ミィナ:「もう早く終わらせて帰ろうよ」
ほこらの中は地震の影響か所々崩れているところがある。
漁った形跡も見られ、目ぼしいものはないようだ。
雰囲気にもだんだん慣れてきた二人も会話が少しずつ出てきた。
ミィナ;「崩れているところあるけど何もないね」
ロイ:「これじゃあ来た意味がないな」
ミィナ:「ねえ、あそこ見て。新しく崩れたところみたいだけど光が漏れてる」
ロイ:「ホントだ。行ってみよう」
崩れた隙間から光が漏れていて
そこから覗いてみると大きな広間に光輝く水晶玉のようなものが見える
水晶玉は赤く鳴動しながら広間を照らしている。
ロイ:「すごい、なんだあれ」
ミィナ:「こんなのが残ってたんだ」
隙間からどうにか子供が通れる程度には通れるようだ。
ロイ:「この隙間、どうにか通れるみたいだよ」
ミィナ:「行くの?大丈夫かな」
ロイ:「近くで見るだけだよ、平気平気」
広間は十分な広さだ。
何かの祭壇のようで何かを祭っていたのだろうか
今となってはわからない。
二人は水晶玉の前にやってきて、水晶を覗き込んでみた
ロイ:「スゴイな、どうやって光ってるんだろう」
ミィナ:「ホントだね。どうなってるんだろう」
光を魅入ってると少しずつ意識がぼんやりとしてきた
ロイ:「…綺麗だ…」
ロイは水晶に手を伸ばす。
ミィナ:「ちょっと、ロイ。危ないよ」
ロイはミィナの声が聞こえないようだ
ロイが不意に水晶に触れると突然大きく輝いた
ロイの意識に声が響いてきた
「少年よ。世界に危機が訪れようとしている。わが力を用いて、世界に安寧をもたらすのだ」
水晶が大きく輝いたと思ったら、すぐに光が無くなった。
何事もなかったかと思うような静寂。
ロイ:「あれ?今のは一体…」
ミィナ:「凄い光が出たと思ったら急に真っ暗になっちゃった」
ロイ:「何か声が聞こえなかった?」
ミィナ:「何も聞こえなかったよ?」
ロイ:「そう???」
いくつかの疑問を残しつつ、家路に着いた。