入籍して、1ヶ月がたった。
この1ヶ月のなかで起きた変化の波は、どデカイ渦巻きのようだ。



新婚生活は、順調ではない。
たった1ヶ月ではあるが、わたしは気がついてしまった。





家事、めんどくせーな。



いやいや、やりますよ。
やるし、ものすごくキライなわけでも多分ないわけなのだが、ただ言いたいのだ。
あれだけ邦衛さんのご両親との同居生活に対してブーブーと愚痴っていたのだが、わたしはいまや、家事を全てしてくださっていた邦母さまのことが大好きである。
晩ごはんのメニューを考えるのは、重責任務なのだ。
邦父にしたって、生真面目なところにわたしが「考えが固いんだよな〜〜」とかなんとかクソえらそうに言っていたが、おかげさまで、邦衛さんがメンタルダウンしているときの心強い味方となってくれている。
わたしは、その時は真剣に悩んだりしているつもりだが、結局のところ、簡単なのだ。
相手を尊敬できれば大好きに格上げ。
特に優しく褒めてくれたりすると誰にでも心を開く、メンタル系尻軽オンナである。



まあそんな話はどうでもよい。
結婚生活のことである。
わたしは今、この世の中の「妻」様たち全て全員、全世界共通で尊敬している。
そのうえ「母親」様ともなると、神をも超える畏れを抱く存在だと思っている。
このような生活を、わたしの母親様は何十年と家出もせずに続けていたのかと思うと、そこに「強さ」を感じずにはいられない。


家族を、毎日当たり前のように生きさせてくれていた。


もう今少し、泣きそうである。
自分で書いた文章に感動する、超新米妻、39才。
情緒不安定か。
しかしまさに、ここにきてやっとそのことに気がついたのだから、この気持ちは大切にしていこうと思う。
こんなクソめんどくさい仕事を、毎日当たり前に誰にも文句を言わず、課長や部長に昇格することもなく、続けてくださっていた母親様。




この世で最上級に敬える存在です。


どんな仕事もおよばない「妻」「母親」という職種は、とにかく生きるのが下手くそな男性たちを救っている。
いやもちろん、男性たちだって生きる以外のことは素晴らしい能力を持っているのだから、持ちつ持たれつではある。
さらに、それぞれの得意不得意はあるので男女関係が逆のパターンも存在するし、同性同士のパートナーもいらっしゃることも、わかっている。
しかし今、この場ではわたしの思いのたけを叫ばせてほしい。





お母さーーーーーぁぁん‼︎




よし、だいぶスッキリした。


そんなこんなで、入籍と2人きりの生活を一世一代の目標にしていた邦衛さんは、メンタルダウンで絶不調である。
1週間ほど前は、普段とにかく明るいかおもんも、落ち込んでしまっていた。
変なネガティヴ思考に陥り、ドツボ状態であった。
しかし、Mさんの励ましや素晴らしい友人たちの助言もあり、かおもんは自分を取り戻し中である。
わたしはわたしのことをシアワセにできる術がある。
だいたい、わたしごときのせいで邦衛さんの調子が悪くなるわけがないのだ。
2人きりの新婚生活を手に入れるために、邦衛さんはずっと気を張ってきた。
目標を達成したところで、いったんココロの糸がゆるみ、下がってしまっただけである。
毎朝仕事に行くのが心底ツラそうにしているが、しかたない。
だって、ビョーキなんだもの。




というわけで、結婚生活のはじまりは、かおもんは家事でてんやわんや、邦衛さんはビョーキにやられて朝からため息、というマイナススタートを華麗にきった。
らしいっちゃらしいが、まぁそのうち2人の生活も落ち着くだろうと、下手にあがかないことにした。
どちらにせよ、毎日何かしらやることがあるのだ。
邦衛さんは風呂掃除を絶対にやらないのだが、その理由を知りもしない前世のせいにし始めた。
そんなことを言ったら、わたしはおそらく前世は男で家事などなにもしてこなかったと言ってやろーかと思ったが、ただのバカ夫婦になるだけなので、鼻で笑って終わりにした。
邦衛さんとかおもんの産まれたて夫婦は、なんともよちよちしながら不安定感満載で、日々お送りしている。









さ、今日も生きてこっと。






はじまりは、こんなもんである。