エピソード1
《神風の再来》
 2006年12月24日21時00分
「パパ~、あれなあに?」
少女は目を輝かせて聞いた。
「あれはね、クリスマスツリーっていうんだよ。」
父親は出来るだけ優しい口調で話した。
「パパ!じゃああれは?」
少女はまた目を輝かせて聞いた。
「あれは飛行機っていうんだ・・・ずいぶんと近いな。」
父親は不思議に思い、辺りを見渡した。すると、すでに辺りの人々は異変に気付き始めていた。
「あれ、飛行機じゃねえよ。戦闘機だ・・・。」
さらによく聴いてみると、それと同じような言葉が静かに飛び交っていた。

 「やれ。」
「・・・了解。」
東京駅付近にいる人々の瞳に写る飛行物体は徐々に大きくなっていった。
「これやべーんじゃねえの?逃げたほうがいいって!」
「逃げるったってどこに!?」
「駅に決まってんだろ!早く行けって!」
誰かがそう言うと、皆一斉に駅へ走った。だがそこには交差点がありすぐには渡れそうにない。大勢の群衆が顔をしかめた瞬間、頭上から弾けるような音が聞こえ、そして、血が見えた。
「うそっ、撃たれたの!?」
「なに止ってんだ!早く!死んじまうよ!」
その群衆の目には、もはや信号など写っていなかった。

                                        
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