土保協の呟きでいくつかRTされましたので、資料としてまとめてみたいと思います。
現在、鉄道博物館では高速鮮魚輸送貨物車として知られるレムフ10000系の車掌室の公開を行っています。
先日伺ってきましたのでまとめてみましょう。
▲鉄道博物館の掲示。EF65-500番台が牽引するとびうお号が写っている
そもそも鮮魚貨物列車ってなんなのって話なんですが、その名の通り傷みやすい鮮魚を輸送する貨物列車です。
トラック輸送の進展を背景に、1960年代の国鉄が打ち出した対抗策が、貨物列車の高速化です。
九州、中国地方の新鮮な鮮魚をより速く東京の市場へ輸送できないか。
当時の主流であった操車場式と呼ばれる運行形態と貨車の性能では困難だった訳ですが、それを打ち消すべく誕生したのがコンテナ貨物車コキ10000系列の血を引く、レサ10000系列です。
このうちレサの車掌室設置車両がレムフ10000です。
▲主要運搬品はふぐ、かき等の高級鮮魚類であった
まだ蒸気機関車も残っていた時代、貨物と言えばコンテナ車のほかにも2軸の小さな貨車が多数とろとろ走っておりました。
そんな中登場した10000系、装備が段違いです。
高速化のためにエアサスを奢り、ブレーキ装備には電磁自動空気ブレーキを採用し制動性能を強化することで、最高100km/hという高速走行を可能にし、当時としては卓越した性能を誇るエリート貨車なのでした。
▲専用牽引機で知られるロクロクことEF66直流電気機関車
このように、性能が特殊なために装備も特殊で、連結器にブレーキ・エアサス供給用の空気管を装備するため列車は同系列での組成を行うのが基本でした。そうでないと性能を生かしきれないためです。
似たものとして同時期に製造された20系寝台客車があります。あちらもスペックはほぼ同等です。
▲EF66の連結器四隅に設置されている専用の空気管
列車の実際の運用もハードかつスーパーエリートで、鉄道博物館の記述によりますと下関~汐留間を17時間で結んでいたといいます。
1000km強ある同区間ですから、平均60km/hで走っていたことになります。当時の貨物列車としては相当早いのではないでしょうか。
関東行がとびうお号・関西行がぎんりん号という愛称が付けられていました。とびうお号は5050という列車番号で知られていますね。
遅延時等には、積荷の重要性と走行距離から「何としても市場まで到着させろ」と優先して通過させたという話も残る列車です。
ちなみに、SRCはさらに段違いなのであえて書きませんが、旧国鉄の民営化後に運行を開始したスーパーライナーでは、最高時速110kmを誇り、ある列車を例にとると平均70km/h弱程度で走り切っています。
▲高速貨物列車誕生を誇示するヨンサントオの際のポスター
そんな国鉄貨物輸送の一時代を築きあげた名車の車掌室に入ってみましょう。
車内に入ると鎮座しているのが石油ストーブです。
エアコンがない当時の列車には必須です。
▲石油ストーブが鎮座する室内
写真右側にあるのがメインのデスクで、ここで事務作業を行うことができます。
説明員曰く、「当時の乗務時間は4~5時間だったというが、正確な記録が残っていない」とのことです。
石油ストーブは丁寧に使い方の解説が記されています。
▲石油ストーブ使用方法の掲示
奥に行くとストーブの燃料タンクと各種ブレーカが収められた分電盤がありました。
脇にはストーブ送風機のスイッチも見えます。
▲ストーブの燃料タンクと分電盤
上写真の左側にトイレがあります。
まさかと思いましたが見せてもらえました。
トイレはいわゆるボットンで、タンクはなくそのまま下に落下するタイプのようです。
「(当時の乗務員は)用を足す際には気を遣った」と説明がありました。
▲レムフ10000のトイレ
車掌車ですので、列車が異常をきたし停止した場合には、後続列車に危険を示すべく信号炎管を発報させます。
こちらがその紐です。けっこう目立ちますが、緊急時用ですのでこういう設置なのでしょう。
赤い先端部を引っ張ると、両脇の鉄の棒が押さえから外れ、炎管が作動するアナログな仕組みです。
引っ張っていいというので引っ張ってみました。
結構軽かったですが、現役当時はもっと重かったようです。簡単に作動してはいけないですからね。
▲信号炎管の動作紐。赤い取っ手が目立つ
奥のトイレ方から車端部入り口を見てみます。
手前の紐が炎管、奥の赤い紐が非常ブレーキだそうです。こちらも引っ張ってみました。
扇風機も付いていますが、窓は網戸にもなるため、夏場も地獄ではなかったのかもしれません。
▲車端部を望む。小倉工場での復元工事の銘板もある
なんとこの車両、ほぼほぼ引退時そのままで納車されたようで、信号炎管は抜かれていなかったり、ストーブは石油臭かったり、灰皿もカスが入ってたりしたようです。
「整備に合わせて若干清掃はしているが、基本的に引退時そのままです」とのこと。何とも嬉しい限りですね。
説明員の方も「初公開なのに全然人気がないんですよー」と嘆いておりました。
このような貴重な名車の車掌室、下記日程で公開していますので、興味がある方はぜひ行ってみてはいかがでしょう。
<開催時期>
平成25年11月2日(土)~平成26年1月13日(月)
平日14:00~15:00
土休日12:30~13:30、15:30~16:30
<開催場所>
ヒストリーゾーン1F レムフ10000形式
<料金>
無料(入館料のみ)
※車掌室内へのご案内は3分間の入替制と致します。
※定員:各回先着20組