あれから2年が経ち、 美桜とは実家に帰ったときに少し会うくらいになってしまった。でもテレビ電話は毎日欠かさずしていた。
仕事の終わりに美桜の顔を見るのが何よりもの癒しになり活力になった。
これからのことも色々話し合ったけど… 解決策はなかなか見つけられず。。
美桜も大学4年になり卒業も間近…
そろそろ結婚のことを真剣に考えていかなければならなかった。 そんなとき…
美桜「紫耀。 今度いつ帰って来れる?」
紫耀「ん〜 来月の後半くらいかなあ。 今、ツアーの打ち合わせしてて。」
美桜「そっか…。」 なんだか元気がない声。
紫耀「どした?」
美桜「ん… 紫耀に話さなきゃいけないことあって…」
紫耀「なに? どした。」
美桜「電話じゃ話せないの。 今度帰ってきたときに話す。」
紫耀「分かった。 なるべく早く帰れるように調整するよ。」 なんだろ。 美桜の声のトーンからして深刻そうだけど。
美桜「ありがとう。 ごめんね。忙しいのに…」
紫耀「何言ってんだ! 美桜が気にすることじゃない。」
それから美桜の低いトーンと表情が気になりスケジュールを少し調整してもらい半日だけ休暇をもらい名古屋に帰った。
美桜の家につき、久しぶりに美桜の部屋に入る。
美桜「ごめんね。 スケジュール調整してもらって。 会いにきてくれてありがとう。」
紫耀「大丈夫だよ。メンバーいるし。打ち合わせはしっかり考えてくれるから。 で、どうした?」
美桜「ん… あのね。」 下を向いて話しにくそうにする。
紫耀「なんかあった?」
しばらく時間をおいて美桜が言った。
美桜「……… できちゃった…。」
美桜のその言葉で一瞬、目の前が真っ白になった。
美桜「ごめん… 妊娠しちゃった。」
紫耀「………。」
美桜「ごめん。 ごめんね。 こんなことになるなんて。 ホントごめんなさい。」
美桜が頭を下げる。 それにすぐに答えられない自分がいる。
美桜「ごめんね。 私もどうしたらいいのか分かんなくて。 メンバーさんにも社長さんや会社の人にも本当に申し訳ない。」
俺が何も言えないのを見て一気に不安になったのか泣きそうになる美桜。
俺は思わず美桜を強く抱きしめた。
紫耀「何言ってんだ。 ありがとう。」
俺のその言葉に美桜が顔を上げる。
美桜「紫耀…。」
紫耀「俺、嬉しいよ。 パパになるの夢だった。」
美桜「いいの? 産んでいいの?」
紫耀「あったりまえだろ! 堕すのは許さない!」
そう言った途端… 美桜は俺の胸の中で大泣きした。
紫耀「美桜?」
美桜「堕ろせ。って言われると思った。 そんな時期じゃないのは分かってるし、社長さんも結婚は許してくれたけど妊娠となると
反対するだろうし。 でも… 妊娠が分かってから日に日に自分のお腹の中に紫耀との赤ちゃんがいるんだ。って実感すると
堕したくなくて。 」
美桜。妊娠が分かってから1人でずっと悩んでたんだ。 俺に相談できずに。
紫耀「ごめんな。 美桜。 もう少し早く話を聞ければよかった。そばにいれたらもっと早く話を聞けたのに。
美桜に全部、背負わせちゃったな。 ごめん…。」 美桜を抱きしめる力がどんどん強くなっていってるのが自分でも分かった。
しばらく抱きしめたあと… 泣き止んだ美桜に言った。
紫耀「大丈夫だよ。 美桜は何にも心配しなくていい。 俺が美桜も子供も守る。だから絶対に産んでくれ。」
美桜「ありがとう。 私も強くなる。」
紫耀「今、何ヶ月?」
美桜「3ヶ月…」
紫耀「そっか。 体調大丈夫? つわりとかしんどくない?」
美桜「大丈夫だよ。ありがとう。」
紫耀「ママたちは知ってるの?」
美桜「ううん。 まだ言ってない。 1番最初に紫耀に。って思ってたから。」
紫耀「ありがとう。 とりあえずママたちに相談しに行こう。」
美桜「……。」
もう一度強く美桜を抱きしめて言う。
紫耀「大丈夫。 俺がいるから。」
静かに美桜が頷いた…