ポイント制退職金制度の設計で最も気を使うのが個人別の検証です。


個人別の検証とは、現行の定年退職金見込み額とポイント制移行後の定年退職金見込み額を比較して、問題の有無を検証する事。


一般的に給与比例の退職金カーブはS字型で、ポイント制退職金の退職金カーブは直線的なため、移行時点の年齢・勤続年数により損得が出てくる可能性が高い。

この損得が、許容できる範囲内のものかチェックをかけるのが個人別検証です。


この点は、ポイント制退職金について書かれている本を見てもあまり詳しく書いていません。

また、金融機関が簡易的にポイント制退職金の案を作ることがありますが、そこでもこの点はあまり触れていません。

しかし、この検証によって数百万単位の退職金増減が判明します。


ここで何らかの対策を打たないと、将来定年退職者が発生したときに、「何でこの従業員だけ退職金がこんない多いのか!?」ということになってしまいます。


将来の禍根を残さないように、この点はしっかり検証することが大切です。

「退職給付債務を避けたい」と言う企業は多い。

しかし、退職給付債務を避けるということ自体が目的でしょうか。本当の目的は他にあるのではないでしょうか。

例えば、退職給付債務があると、その変動によって決算への影響がでるから、その影響を緩和するために退職給付債務を避けたいということの方が多いです。


すなわち、退職給付債務を避けたいと言うのは目的ではなく、決算への影響を避けるための手段です。
要するに対策のひとつでしかありません。

この目的と手段の誤り、思い込みというのが結構多のです。


ここを間違えてしまうと、選択できる対策を取り違えてしまいます。

先の例では、退職給付債務を避けたいというと、まず思い浮かぶのが確定拠出年金への採用となりますが、決算への影響を避けたいと言うのであれば他にも対策はあります。


この点、担当者としては最も注意しなければならないところです。

確定給付企業年金の掛金計算プログラムを開発しました。


確定給付企業年金には本則基準と簡易基準がありますが、今回開発したのは簡易基準。

専門家ならお分かりかと思いますが、簡易基準の掛金計算は至極簡単。

適年にあった経験予定脱退率や死亡率も使用しないのですから、エクセルシート1枚でOK。


それでも、生保会社に依頼すると最短でも2週間はかかります。

場合によっては、1ヶ月以上かかることも。

それが、1日あれば計算できるのだからとても便利になりました。


もちろん数理債務の計算もできます。

最近は100名未満でも確定給付企業年金への移行案件が増えているので、これからこのプログラムに活躍してもらおう!

私は同じ本を何度も読みます。
私が好きな本はアイデアが湧いてくるような本。


「これからの知識社会で何が起こるか」(田坂広志著、東洋経済新報社)はおそらく20回以上読んでいると思います。

この本で何が書かれているかは読んでいただくとして、私がこの本から得たアイデアは次の3点


1.「専門的な知識」ではなく「職業的な知恵」を持つ人材が活躍する。

前職では大企業のコンサルティングを担当していましたたが、大企業へのコンサルティングは各金融機関の知恵の戦いであり、そこで得た知恵を中堅・中小企業に応用すれば、高い付加価値を持つサービスになります。


生命保険会社のコンサルティングはサービスの一環で無料です。ゆえに手数料が安い中堅・中小企業へは提供されません。

ここはまさに空白地帯だと考え、この規模(従業員数50~500名)に絞ってサービスを提供しはじめました。


2.「販売代理」ではなく「購買代理」のビジネスモデルが拡大する。

DBやDCでは、金融機関の情報があまりありません。

企業は取引金融機関からの提案しか受けていないのが実情です。

したがって、自社に相応しい金融機関に巡りあえる可能性は極めて低くなります。


しかし、我々は退職金・企業年金の専門なので、それこそ様々な金融機関の情報を取りにも行くし、逆に提供もされます。

そこで得た様々な金融機関の情報をクライアントに提供し、金融機関の選定サポートを行うサービスを加えています。これは「購買代理」の発想から思いついたサービスです。


3.ナレッジマネジメントが「企業内」から「企業間」へ広がる。

各企業が持っている顧客の情報やサービスに関する知識を交換することにより、自社の偏った顧客知識を修正し、全体性と整合性のある顧客観と顧客知識を形成していく必要があります。


この思想に基づいて、当社では自社の持つ「知恵」を積極的に交換しています。

交換する先は、社労士や税理士、銀行・損保・生保の金融機関など。

そこから、新しい発想や、効率的なサービスを提供する仕組みを新たに生み出していく。

自社の知恵やノウハウを自社内に留めて置くのではなく、積極的に交換することにより、さらに磨きあげていくことが重要だとおもいます。

先日クライアントの総務および経理ご担当者と一緒に監査法人を訪問しました。

目的は、確定給付企業年金(DB)への移行に伴う、退職給付債務の計算方法変更について承諾をとりつけるため。


現在、使用しているのは適格年金の責任準備金をそのまま退職給付債務とする方法(実務指針36項の6)。

これを退職金制度全体の自己都合要支給額を使用する方法(実務指針37項の2)に改めます。


理由は、適格年金=退職金だったものが、DB移行に伴い退職金制度も改定し、DB≠退職金となったためです。

照会書・根拠条文・新旧退職金制度案・新旧企業年金制度案を提示して説明し、承諾を得ました。


退職給付会計が導入されてすでに8年が経ちます。

現在の計算方法で実務を行っているご担当者にとって、何があれば計算方法の変更を検討しなければいけないかを知ることは中々難しいことです。


原則法を適用してる企業は、毎年金融機関やコンサルタント会社などに退職給付債務の計算依頼をするため、何かあれば専門家が気付いてくれますが、簡便法を適用している企業は自ら気付くか、監査法人に指摘をされるまで気付かないでしょう。


特に今回のように、適格年金の責任準備金をそのまま退職給付債務としている企業は、(退職金制度の改定がなく)適年移行だけでも退職給付債務の金額が変わるので注意が必要です。