必須アミノ酸の語呂合わせ&特徴と役割①
今回は、「必須アミノ酸」についてお伝えしていきます。必須アミノ酸とは、体の機能を維持するために必要かつ人体内で合成できない(合成できにくい)アミノ酸のことです。まずは全9種類の覚え方。やはり、語呂合わせが便利です。私は「フロバイス(風呂場椅子)、ひとりじめ」で覚えました。フ フェニルアラニンロ ロイシンバ バリンイ イソロイシンス スレオニン(=トレオニン)ヒ ヒスチジント トリプトファンリジ リシンメ メチオニンわかりやすいですね~。ゴロを考えてくれた人に感謝です。では、9種類を覚えたところで、次はそれぞれのアミノ酸の特徴を見ていきましょう。BCAA(=分岐鎖アミノ酸。バリン・ロイシン・イソロイシン)運動前後に飲むサプリメントとしても人気ですね。BCAAは筋肉内に多く含まれるアミノ酸で、運動時のエネルギーとして効率的に働きます。そして、BCAAがもう一つ活躍するのが「肝疾患」の治療です。肝機能が大きく低下するとアミノ酸合成能が低下し、血中のBCAA比率が下がり、本来肝臓で代謝されるはずのAAA(後述。芳香族アミノ酸)比率が上がります。(=フィッシャー比の低下)この状態が続くと脳細胞に悪影響が生じ、「肝性脳症」が生ずる危険があります。よって、治療としてBCAAを主体としたアミノ酸製剤が投与されるのです。新生児マスクリーニング検査の対象疾患である「メープルシロップ尿症」は、このBCAAの代謝に異常が生じる疾患です。AAA(=芳香族アミノ酸。フェニルアラニン・トリプトファン)前述の通り、肝臓で代謝されるアミノ酸です。AAAは非必須アミノ酸である、チロシンも分類されます。チロシンは甲状腺ホルモン「チロキシン」やメラニン色素、カテコールアミン類の前駆体となる重要なアミノ酸です。なぜ非必須なのか。それは、体内でフェニルアラニンから合成できるからです。新生児マスクリーニング検査の対象疾患である「フェニルケトン尿症」は、フェニルアラニンをチロシンに代謝する酵素が先天的に欠損している疾病です。よって、治療としてはフェニルアラニンを制限し、チロシンを補給していく必要があります。ちなみに、人工甘味料としてよく使われる「アスパルテーム」ですが、これにはアスパラギン酸とフェニルアラニンが含まれます。よって、フェニルケトン尿症の方の摂取を避けるために「L-フェニルアラニン化合物である(を含む)」という表示が義務付けられています。ひとまず今回はここまでです。次回は、残りの4つを紹介していきます。