超高齢化社会の日本だが、病と老いは誰もが避けて通れない人生最大の難問の一つである。だが、少し見方を変えれば、様々な病の症状や老化現象もマイナス面だけではなく、わたしたちの生き方を変える大切なメッセージが含まれているともいえる。

わたし自身は、人間は何か使命や目的を持って生まれてくるような気がしている。だが、効率や成果が重視される現実の社会では、自分の思い通りに生きるのは難しい。そのため、多くの人は社会に適応するだけで疲れ果てて、いつの間にか夢や目標を失ってしまいがちだ。

やりたい事が出来ず我慢や中途半端な状態が続くと、身体に痛みや異変が起こってくる。痛みや身体症状は日常生活にも影響を及ぼし、病気と診断されることもある。そして、やがて仕事や日常生活にも支障を期待すようになれば、否応なく生活や生き方を考え直さざるをえなくなる。

だが、長い目で見れば、病気や身体の痛みは、自分の生活を見直すために、起こるべくして起こっているともいえる。繰り返し起こる痛みや症状の背景に、もっとあなたはこう生きるべきだという警告やメッセージが潜んでいるのだ。

もっとも、多くの人は病気になっても手術や投薬治療で回復すれば、これまでの、自分の生き方を見直すこともなく、何事も無かったように元どおりの生活に戻ってしまうが・・・

多くの人は大人になると夢や思いを断念し、とりあえず食べてゆくために仕事に就く。たいていは、「現状はそんなに悪くない」と自分に言い聞かせ、現実と折り合いをつけ、好きでもない仕事を続けながら趣味や気晴らしで、退屈な気分を変えている。

日々の暮らしでストレスが溜まり不満を感じても、安全な場所を離れて、未知の世界に飛び込むには、かなりの覚悟と勇気がいる。慣れ親しんだ場所を飛び出すのは、リスクを伴い失うものも多いので、行動をためらわせるのだ。

そのため、人は病気や慢性的な症状で苦しまないと、なかなか自分の内面に向きあい、人生を変えようとまでは思わないものだ。

その意味では、病や症状は警告であり、望まないかもしれないが必要な状況ともいえる。時として、病や身体症状は、人生の転機となり、人生の意味や使命を思い出す機会となるからだ。

言い換えると、病気や症状は生きる使命や目的を知らせるため、自己の魂によって引き起こされるともいえる。つまり、人間には自動の軌道修正システムが備わっており、本来の使命や軌道を外れると無意識のうちにそれが起動するのだ。

病気や身体症状が、自分の生活を見直すきっかけにはならないと思う人もいるだろう。病気で苦しんでいる時、人はそんな気分になれないし、生き方を見直すどころか、不安からうつになったり、人と会うのを避けたり、引きこもるのではないかと心配する人もいるだろう。

もちろん、現実はその通りかもしれないし、健康な時に頭で理解するのと、実際に病気になってから感じるのでは、将来に対する不安や苦しみの度合いがまったく違うのは承知している。

病気や痛みなどの症状のせいで、仕事をやめたり、やりたい事ができなくなることはよく聞く話だ。とても苦しくつらいことだがが、自分の生き方を変えるきっかけにはなる。というより、今までの生活が続けられないので、不本意でも決断し変わらざるを得ない。

わたしの考えは机上の空論でしかないと思う人もいるだろうし、誰にも当てはまることでもない。どういう生き方をするかは個人の自由なので、今の生活を変えないで、自分のやりたい事をしたいならそれもいいと思う。どう生きるかは、自分で決めればいいことだ。

　自力でうつから抜け出せないなら、カウンセリングを受けたり、専門家の治療を受けることをお勧めする。

医学や科学の発達した現代でも、治らない病気は予想外に多い。慢性的な肩こりや身体の痛みなどで悩む人もすごく多い。だが、人によって個人差や時間がかかることもあるが、どんな病や症状でも受け入れるのは可能である。

穏やかに生きるには、「病気が治らないと何もできない」と病を目の敵にするのではなく、前向きに病を受け入れ、共に生きてゆく事を考えるべきだ。痛みやだるさがあっても、自分のペースでできることを淡々とすることだ。

いつ何が起こるか分からないのが人生だ。病気やケガで突然人生の計画が狂うことはよくあることだ。特に老化による体力や記憶力の低下、視力や聴力などの五感の機能の衰え、免疫力の低下などは、加齢によって遅かれ早かれ誰もが体験することになる。

病気のことを心配しても治るならいいが、そうでないなら心配するだけ時間の無駄である。どんなにつらくても病や症状には意味があり、その病の体験を通して、精神的に成長することは可能だと思う。

痛みや慢性的な身体症状を、生き方を見直す機会ととらえ、この世に生まれてきた意味を考えるきっかけにしたいものだ。

病は魂のメッセージ