30日の土曜日に行われた自宅ゲームスペースUDAでのゲーム会でプレイされたゲームのメモです。
’96年のステファン・ドラ作“マラケシュ”から開始。
隠れた名作をこの日ようやく初プレイ。
何がどうこうということもないのですが、シンプルなシステムのみでフリークをも満足させるゲームは作れるんだ、ということでしょうか。こういうタイトルがあるから90年代ドイツゲームは全く侮れない。
運要素なし、シビアな競りで損益分岐も計算できるので、勝利志向の強いプレイヤーばかりのセッションだと頭の痛い計算があちこちで発生するかもしれませんね。
ずらりと並んだお客さまたちは某共産圏の別ゲームを想起させます。
60分で終わる収束性の良さもあって評価は8.0。素晴らしいドラがここに。
つづいて’04年作、カタラ&フェドゥッティによる“イグルーイグルー”。
裏向きのタイルをめくっては処理していくというのはまあ確かに逆カルカソンヌと言えないこともないですかね。
しかし面白い試みが昇華されることなく出版されてしまった印象は拭えない部分も。
タイルをめくっていく楽しみは確かにありますが、その後のボリュームが不足しているというか。
このころのゴルトジーバーはすでに斜陽の時代だったのかも。6.0点。
3タイトル目はギュンター・ブルクハルトの“恐怖の光”。2006年作。
いやー、正しくブルクハルト、この変態っぷりは彼ならでは(笑。褒めてますw)。
他人の場にプレイできたり裏向きにプレイして場のカードを消したりというメカは素晴らしい。
これはもう少しやってみたい。最初は既存のカードゲームとのあまりの距離感に戸惑うかも。7.5点。
’94年クーン作“ナイルの氾濫”。
“カタンの開拓者”より前に発表されていた、ややストラテジックなドイツゲーム。
一部ルール上の不明点があったり、このボリュームにしては収束性が今ひとつと、2013年現役プレイヤーの視点から見るとそういった不満はたしかにあるのですが、しっかりとしたドイツゲームではあり、各所で発生する駆け引きは楽しめました。
この作者の無骨な作風は好きですね。7.0点。
ステファン・ドラ’97年のタイトル“ウムコプフウントクラーゲン”。
ダイスロールの運要素が勝敗決定に色濃く影響を及ぼすのに盛り上がってしまうのだから面白い。
競りのメカニクスやダイスのリロールの際の処理が良くできているな、と。
各所で盛り上がりそう。7.5点。(←やや辛め)
“大相撲八百長札”。これは’98年アンドレア・マイヤー作“政治献金ゲーム(Stimmvieh)”のリメイク。
元ゲームとの差分があるのかどうか確認はしていませんが今回は付属の日本語ルールでのセッションでした。
美しいシンプルなシステムでジレンマも生み出しており、ファンが多いことも頷けるカードゲーム。
流れ次第ではどうすることもできない場面もありますがまあそれもまた一興か。7.0点。
こちらは現代のゲーム、2012年クニツィア三部作のひとつ、“ロンド”を青面で。
シンプルながらジレンマというまさにクニツィアらしいタイトル。
素晴らしい間口の広さで、フリークも十分楽しめる良質なファミリーゲーム。
“秦”も良かったですが気持ちこちらのほうが好きかも。
収束性もよく7.5点。やりましょう!(笑)
’03年作、フランソワ・ハフナーによるティルシットからの“マカバナ”。
南の島を舞台に繰り広げられる陣取りゲーム。
“バヌアツ”と同じく、こちらも背景は明るいにも関わらず、やってるのはドロドロそのものの心理戦というw いやはや素晴らしいw
プロットした3枚のうち1枚開示するだけなのにそれだけで悶絶するような濃厚な腹の探り合い合戦が始まるのですから素晴らしいゲームデザインだなー、と。
いろんな部分でのバランスが絶妙なのも完成度の高さに寄与しているのかなぁ。
シンプルで美しく、収束性も十分で評価は8.5。入手が難しいのが残念。
これにて〆。出たばかりの新作、ボザ&カタラによる“星の王子さま”。
シンプルなセットコレクションと一種の変形ドラフト。
原作のサンテグジュペリのイラストがまた素晴らしい。
これもバランスが絶妙で、デザイナーの仕事っぷりを僕は評価したい。今年度ベスト適度ゲームの有力候補のひとつ。評価は8.5点。
以上、意図してやったことですがやや古めのドイツゲームが多かった印象のこの日のゲーム会でした。
新作ももちろんいいのですが魅力的な旧作が個人的にはまだまだ埋もれているようで、それもまたドイツゲームの魅力だと再認識した一日でもあります。