ハナちゃんが十八日に四歳になりました。
鈴木が断酒して丸四年です
(正しくはハナを拾った日だから、丸四年までにまだあとほんの少しだけあります)。
ハナは鈴木が断酒を誓い、久しぶりに夫婦で一緒に散歩をしたそのときに拾った猫です。
農業用水路の中の土の盛り上がった島の上で必死に鳴き叫んでいました。
遠くからでも私の耳には「助けてー」と聞こえました。
猫がどんな状態か最初はわからなかったのですが、
助けを求めている声に聞こえたので、声を頼りに探しました。
周囲は水。
子猫がそんなところにいけるはずがありません。.
体も濡れてなく汚れてもいなかったので、誰かが置いたんですね。
あと数時間後には激しい雨が降る予報。
保護しました。
野良猫でないのは一目でわかりました。
今朝捨てられたといった風情の猫です。
実はハナを用水路から助け出そうとしているときに
女の人があらわれて「どうしたの」と声をかけてきたんです。
「猫の鳴き声がしたからきてみたら、ここに子猫がいました」
と答えたら
「昨日も鳴いていたのよ」
と言ってその人が用水路の泥水の中に飛び込んだんです。
ハナはびっくりして水の中に逃げ出し、
泥まみれになりました。
その人は追いかけてハナを摑み、
用水路を這い上るとすぐに私の方に子猫を押しつけ、
「うちじゃ飼えないから、あなたがなんとかしてね」
と早口で言うとさっと立ち去りました。
私は今でも彼女が前の飼い主だったに違いないと思っています。
ちなみにその日、私は買ったばかりの服を着ていました。
泥まみれの猫を押し付けられて少し悲しかったです。
すぐに家に戻ってお風呂に入れ、
綺麗にしてから病院へ行きました。
ハナは虫もついていなくて
健康でした。すぐにうちの犬のサクヤと仲良しになり、
その日のうちに一緒に遊びました。
たいそういたずらっ子で手を焼きましたが、言葉の覚えが早く、今は聞き分けの良い猫です。
分離不安症気味で常に人間と一緒にいたいけど、
「べたべた触らないで」というタイプの猫です。
おやつが欲しい時はじわっと寄ってきて「ちゅっ」とキスをする癖があります。
もってこいの遊びが大好きで、
投げて投げてとおねだりをします。
鈴木は断酒した自分に神様がよこしてくれた猫だと言って可愛がっています。
ハナも鈴木への愛がひときわ深いです。