“お互いの国に帰ったら、寂しくなるね”
私達の帰国前、カナダの友達が皆、そう言ったのです。
彼はいつも、こう答えていました。
“絶対寂しいよ。だけど大丈夫。ビューティフルテクノロジーがあるから!”
わ、いいこと言ったね!
だけど一文無しで帰国した私に、家はなく、
ネット回線などさらさらなく、
オッパは私が、実は砂漠かジャングルにでも帰ったと思ったかもしれません。
オッパが送ってくれたWEBカメラやIP電話の類も、
なぜだかひとつも使えなかったのです。
それでも毎日、ただただ国際電話をくれるオッパ。
電話代は、のちに、
“優秀カスタマー”として、
電話会社から表彰されるほどにふくれ上がりました。
ありがとうオッパ。でも、もうちょっといい方法を考えましょうね。
こそこそとネットカフェ。
オッパとどうやって繋がれるかと、いろいろ調べるうちに、
どうやら同じような日韓カップルが、意外とたくさんいることを知りました。
驚いたのは、「MSNやSkypeで今日もケンカしちゃった」話が多いこと。
「えー、遠くにいて、せっかく顔見られるのに、
ケンカに使うくらいやったら、するなやスカイプ!」
とか、正直思ったわけです。
でも最近、そんなこともちょっと、分かってしまいました。
夏に日本に遊びに来たオッパは、
やっとにできた私の家に2ヶ月ほど滞在し、
帰りに自分のパソコンを置いて帰ってくれたのでした。
「オッパはデスクトップが家にあるから大丈夫!
これで顔見て喋れるよ」
夕飯の時間は、PCの前でご飯持ち寄って一緒に食べたり、
ときどき、PCつけっぱなしで一緒に寝てみたり、
それはそれは楽しい!そうか、これがビューティフルテクノロジーやん!
なんて思ったはつかの間。
あのね、小さな小さな行き違いのあとに、
ギューしたら忘れるくらいの言い合いのあとに、
触れもしない沈黙の代わり機械音、て、いうのでしょうか、
あれはね、きっとよくないのです。
顔も見られず過ごすより、小さなズレをあおる距離があるようなんです。
だって画質のせい、顔の肌色だってもっと沈んでるんだもの。
ゆっくりと何某が降下したある日、オッパは私に、私はオッパに、とても悪いことをたくさん言いました。
ビューティフルなことがあるもんか。
しばらく連絡したくないよ。顔見たくないよぅ。声も聞きたくない。
次の日、家には韓国から、10kgほどの宅配便が届いたのです。
中には、私の大好きな韓国食品がいっぱい!
「食べ物届いた?萌ちゃん、今日は笑ってくれる?
ちゃんと食べてね。毎日食べてね」
なぜか、ラーメンを作る用の鍋まで入っているではないですか。
なんてかわいいオッパ!!
私達の接点が荒くなったのは、きっと心のせいではないのです。
モニター越し、よくないよくない粒子の粗さが、とてもに私を、そしてオッパをすり減らしてしまったのでしょう。
もともと機械には弱いのです。
近付き方はいつもアナログに、
触れるところは、いつもすべすべとしているべきなのです。
今日、リンスを変えました。
お風呂で脚を、よくマッサージしました。
ソウル行きのチケットを予約しました。
すべらかな心身で、月末、韓国へ向かいます。