日本でも報道されてご存じの方も多いと思いますが、バンクーバー冬季五輪金メダリストキム・ヨナとブライアン・オーサーコーチが決別し、双方ともにそれぞれ自分の正統性を主張し合い、真実をめぐり泥沼の戦いを繰り広げています。
この事態が明らかになったのは、8月24日。オーサー氏は24日、代理人を通じて次のような報道資料を発表しました。「キム・ヨナの母パク・ミヒさんが2日、オーサー・コーチとトレーシー・ウィルソン技術コーチに会い、『これ以上コーチ指導を依頼しない』と伝えてきた。突然で予期せぬ決定にとても驚いた上、理由も聞けなかった」そして、オーサー氏は、「キム・ヨナのように才能のあるスケーターと共に仕事ができて光栄だった。キム・ヨナの今後に幸多きことを祈っている」と続けたといいます。キム・ヨナ側が一方的に契約解消を伝えてきたということです。
これを受け、キム・ヨナと母のパク・ミヒさんが所有するスポーツ・マーケティング会社、オール・ザット・スポーツ(ATスポーツ)側は、オーサー氏の主張に反論する報道資料を発表。それによると、キム・ヨナ側が先に契約解消を伝えたのではなく、23日にオーサー氏側から、「これ以上キム・ヨナを指導しない」との最終連絡を受けたというのです。
両サイドとも契約解消の事実は認めたものの、「どちらが先に切り出したのか」については、主張が真っ向から対立しています。
その決別の理由が、韓国の報道では真央ちゃんが原因だという見方が多いのが頭に来る!!キム・ヨナの母親が経営するオールザットスポーツは、キム・ヨナとオーサー氏の決別理由について「キム・ヨナとオーサー氏は他の選手のオファー説のため5月からぎこちない関係だった。このため6月からは事実上、キム・ヨナはオーサー氏なしに、振付師デビッド・ウィルソン氏と一緒に振り付けの練習をしてきた」と明らかにしています。
韓国の報道では、オーサー氏は4月、キム・ヨナの‘ライバル’だった浅田側からオファーを受け、それが原因でキム・ヨナとコーチの関係が崩れたというのです。まず、本当に真央ちゃん側がコーチのオファーをしたのかさえ疑問だし、正式ではなかったら、新しいコーチを探す際に一応当たってみるというのは、当然だとも思えます。それなのに、どうしてこの2人の戦いに、真央ちゃんの名前が浮上してくるのか、メディアの報道の仕方も許せません。もともと韓国の報道は、裏もとらずに思いこみや噂レベルで報道するので、信じてもいませんが。でも、韓国ではその報道を信じて、それを引き合いに出してブログなどでさも本当のように広がる話が多いので許せないのです。師匠と弟子のドロドロの戦いにどうして真央ちゃんの名前が挙がってくるのか!!報道は、真央ちゃん側のオファーのせいで、ヨナが傷ついているという感じで、本当に腹がたちます。
では、その原因ですが、やはりお金の問題も少しは絡んでいそうです。オーサー氏にとっては、キム・ヨナが実質的に初の教え子。米国やロシアの有名コーチが年間およそ1億ウォン(約705万円)の「レッスン料」を受け取るのに対し、オーサー氏のレッスン料は、1回50分のレッスンで15万ウォン程度(約1万570円)だったということです。
http://www.chosunonline.com/news/20100825000013
(朝鮮日報記事)
キム・ヨナはこのコーチ解任劇について、ブログやツイッターで心情を告白。
「礼儀に背く行動はしていない」。キム・ヨナがブライアン・オーサー・コーチとの決別と関し、ミニホームページで心情を明らかにしました。 24日には、自分のツイッターで「B、お願いだから嘘はやめて」という短いコメントを載せたその翌日の25日、この長文を書いています。
http://csl.cyworld.com/pims/main/pims_main.asp?tid=38779660
(キム・ヨナのブログ)
「こんにちは」と題したこの文は、 「ずっと我慢していたが、これ以上黙って見ていられないので」と書き始め、「私だけでなくブライアン・オーサー・コーチを含め、この件に関係するすべての人たちが真実を知っている」
メディアに「キム・ヨナの決定ではなくお母さんの決定のようだ」というニュアンスでインタビューをしたことに関し、「私はもう子どもではない。 一緒にしようと、別れようと、それは私が最終決定すること」と述べ、 母親の言いなりになっているのではないと主張。
この中で、キム・ヨナは「難しい時期に一緒になって支えてくれたコーチを切り捨てたのでは」という非難を意識するかのように、「私たちは慎重にしてきたし、相手に対して礼儀に背く行動はしなかった」と強調しています。 また「4年間、何の問題もなく、楽しく練習をしてきたと思いますか」という言葉で、これまで少なからず不和があったことを示唆し、「その過程は話したくないし、話す必要もない」と詳しい説明は避けています。
いや~何があったにしろ、かつての恩師に対してツイッターやブログを通して批判を出来るというのは、ある意味やはり韓国人らしいところです。このような師匠と弟子の対決をこの2年間で何度か見たことがありますから。ここは本当に儒教を重んじる国なのかと思います。少なくとも、真央ちゃんは、いくらタラソワと意見が合わないことがあったとしても、批判するなんてあるはずもないですよね。
この泥沼の戦い、まだまだ続きがあるんです。ブライアン・オーサーコーチがキム・ヨナの新しいシーズン、フリースケーティングの曲を同意もなしに公開したのです。
オーサーコーチは26日AFP通信とのインタビューで「キム・ヨナは振付師デービッド・ウィルソンが作ったフリースケーティングプログラムに慣れるため、今もトロント・クリケットクラブで訓練中だ」とし「私が見た中で最高のプログラムだ。バンクーバー五輪で使ったガーシュウィンのピアノ協奏曲F長調を超える」とほめたといいます。
オーサー氏は「フリースケーティングは韓国伝統音楽の編集曲で構成されており、民謡『アリラン』をフィーチャリングした。またショートプログラムは9月初めにシェリン・ボーンが作って来るだろう」とキム・ヨナの新しいシーズンプログラムを独断的に公開したのです。
通常新しいシーズンプログラムは選手とマネジメント社、コーチングスタッフの論議を経てシーズン開幕前マネジメント社や選手本人の口を通じて公式的に発表されるのが慣例のため、コーチの一存での発表にキム・ヨナ側が黙っているわけはないでしょう。
この師弟対決にはこれまでの様々なわだかまりがつもりにつもって起こったともいえるでしょう。オーサー側は、キム・ヨナが今シーズンのグランプリシリーズに出場せず、世界選手権のみに出場することを、マスコミ報道で知ったことに腹を立てていたそうです。また。その後何度連絡をしても返事一つ無かったとも。
それと、キム・ヨナの限界も感じていたからだと私は理解しています。なぜなら、オーサーはオリンピック後に、「キム・ヨナはトリプルアクセルに挑戦した方が良い」というコメントを言っています。これに対し、キム・ヨナは「聞いていないし、するつもりもない」と、インタビューに答えています。私が感じるに、原因はこのあたりなのではないかと思っています。
オーサーは現役時代「ミスタートリプルアクセル」と呼ばれた程の選手。新しい技に挑戦しようという真央ちゃんの姿を見て、小手先の演技力で金メダルを取った自分たちを省みて、これから4年間、新しい挑戦をしながら次のステップを目指したいと考えたみるのは、あり得ることだと思います。そのオーサーとキム・ヨナのスタンスの違いが原因になっている気がします。
前に所属していたマネージメント会社から、母の会社に移った時のトラブル、これまでのキム・ヨナの他人を傷つける言動、今回の騒動は来るべき時が来たのではないでしょうか。実はこの騒動、あまり驚きませんでした。むしろ、やっぱりこんなことが起こったかという感じです。
このドロドロの対決は、まだまだ続編がありそうですが、どうか真央ちゃんや他の日本選手を巻き込まないでほしいというのが私の切なる思いです。闘い自体は、ドラマ顔負けで面白いけど。