加村一馬著 『洞窟オジさん』小学館文庫洞窟オジさん Amazon


ドラマはまだ見てないのですが、昨日たまたま本屋で見かけた原作を読んでみました。


恐るべしノンフィクション。


事実は小説よりも奇なりと言いますが、まさにその通り。

加村氏の人生を通して、人間が生きる上で、いったいなにが必要なのか…があぶり出されている本書。

まずは生きるために家から出て行くことからはじまる。
愛犬が加村氏にとって特に重要な相棒で、生きる理由となっていた。

犬に食べさせるために犬と共に食うために生きて、その後優しい夫婦と出会ったりする。

お金を得る事を覚えたり、元社長というホームレスに言葉を教えてもらったり。

売られたケンカは買い、また加村氏自身がケンカを売るときもあっただろう。
基本的には素直で温和なイメージがしたけど、どこかギラギラしたものがある。

後半、彼自身が語っているサングラスの件。
仕事仲間に目つきが悪いとイチャモンをつけられ、深く傷つく加村氏。
そう、心が傷つきやすいからこそ威勢よくふるまうのだな、そう感じた。


力には屈しないけど、人の優しさには切ないくらい心をゆるす彼の生き方。根底に幼少期の壮絶な経験がそうさせているように思う。

北風と太陽という話があるけれど、人間が心穏やかに生きていくことに必要なのは、太陽のような献身的な愛をおいて他にないのかもしれない。

加村氏は富士山のふもと、樹海にて、二つの遺体に出会った。
彼自身が死ぬつもりで入った樹海だが、その遺体を見て、死にたくないと悟る。
そして、実際樹海から生還する。

加村氏の生きようとする力は時代に必要とされているんじゃないかな。
ドラマ化され、小説も再販されて、絶望の淵にいる人々に勇気を与えてくれると思う。

わたしも小学校時代いじめにあっていたし、折檻はなかったけど夫婦喧嘩の暴力の現場はつらかった記憶がある。
姉からのいじめもあったし。

家を飛び出したい気持ちはどこかにあって、父が亡くなったとき気がへんになってしまった。

早期治療で今は投薬もなく普通に生活できているけれど、それはいろんな人が助けてくれたからなんだと思う。

この本にしばしばトラックの運ちゃんが出てくるけれど、私も死ぬか死なないかのところで運ちゃんに拾われ助かった。

彼の名前も知らない。

けれども私は彼を忘れることはないだろうなあ…



何となく、自分自身と重ねて読んでしまう作品でした。 


元気もらいました(*^-^*)


よい本に出会えて良かった~!


ではまた。