「体力だけには自身があります!」 確かに、大動物を扱うわけですから若干の力仕事はありますので体力は必要です。 しかし、酪農は非常に機械化が進んでいる業界のため、それほど多くの力仕事はありません。 牛舎の清掃、子牛へミルクを与えるなどのルーティンワークは単調な仕事であり、 体力よりも根気の方が大切になります。 「体力」があるからではなく「根気」があるからなのだと思います。
 だんだん寒くなってきましたね。  牛を飼っている農家の皆さんは子牛の下痢の始まりはいつ頃だと思われますか?下痢になった子牛をみたら昨日今日の飲ませたミルク悪かったことが原因と思われがちかもしれませんけれど、どうでしょうね。子牛の下痢の分かれ目は生まれて1週間という話もあります。最近、私は生まれて3日までの管理(胃腸の機能と腸管の発酵具合)が生まれて1週間頃によく見られる下痢の発生にとても大きな影響を持っているのでは?と思っています。極最近の研究では、下痢になった子牛では生まれて1日後には免疫細胞に異常があるといっています。どうやら、子牛の免疫細胞は下痢になる4,5日前から頑張っているそうなのです。そして結局下痢になってしまう。  この原因の1つには、初乳は生まれて1日以後に与えても吸収しないから与えてもしょうがない、というこれまでの言い伝えがいけないのかも、とも思っています。そもそも母牛は分娩した後に初乳を子牛に飲ませますけれど、常乳に戻るまでには1週間や2週間は必要なわけであり、その理由は何よりも子牛のために他ならないのではないでしょうか。ですから、子牛成長に合った牛乳を与えるためには、母牛の母乳を与えることが一番適当であるように思うのです。子牛のミルクの管理では、特にホルスタインでは初乳を与えた後から、市販の代用乳に切り替えることが多いように思いますけれど、この代用乳は子牛の成長に合わせて成分を細かに調整されているわけでもないように思います。ホルスタインは牛乳を出荷しなければならないので、せめて出荷前、つまりバルクに入れる前までは母牛から搾った牛乳を生んだ子牛に与えた方がいいのでは、と最近良く思います。  第2には、子牛の消化管が代用乳を消化できないのではと思っています。以前もお話したかもしれませんが、母牛は子牛に1日当たり7、8回に分けて牛乳を与えますから、子牛も少しずつ牛乳を飲むことになるのです。しかし、人工哺乳ではせいぜい3回の哺乳で必要なカロリーを飲ませようとするのですから、1回当たりのミルクの量が増えてしまいます。またミルクのエネルギーを上げるために、脂肪の多いミルクを与えてしまうと、消化しきれずに下痢をすることも考えられます。消化しにくいミルクを1回に多く与えてしまうことになれば、やはり腸管で異常発酵を起こしてしまう危険性は高くなりますね。色々なことを考えると、人が育てられる子牛の管理技術の限界があるように思えますし、その管理能力を超えてしまうと子牛は下痢になるのかもしれません。最近は多頭飼育が進む傾向にあるので、母牛が子牛を看る機会が少なくなっています。  育ての親の人と、産みの親である母牛の子牛の保育技術はどちらが上でしょうね。