1/23(木)夜公演 座・高円寺1
最前列 下手
たくさんの映画や舞台に出演されている安藤聖さんと尾上寛之さんの二人と、
映画監督として高く評価され、音楽ビデオクリップも作る松居大悟さんに、
ギタリストの新井弘毅さんが正式加入して、四人で活動することになった『おかぼれ』。
彼らの公演は、演劇とバンド演奏の融合です。
前回の旗揚げ公演もバンド演奏を披露し、新井さんがサポートしていらっしゃいました。今回は正式加入したこともあり、その存在感は絶大でした。
はっきりとした違いは、BGMが生演奏であること。
ステージ上手にセットされた機材に囲まれて、さまざまな機材や技術を駆使し、
見事な音楽でシーンをサポートしています。
そこにギターの生演奏も乗せているマルチな活躍ぶりです。
さらに、劇中で聖さん扮するアイドルが歌う楽曲が素晴らしいのです。
打ち込みのアイドル曲テイストですが、そのクオリティは
そのままどこかのアイドルがCD発売しても不思議ではなく、
むしろ流通しているアイドルの楽曲よりもポップでキャッチーな仕上がりです。
これもおそらく新井さんが書いたものでしょう。
バンド演奏シーンでも、そのギターのリフやソロでプロの演奏へと引き上げていました。
ドラムのシーンでは、ややリズムにブレが生じて、走る傾向が見られましたが…。
ドラムと言えば、聖さんが担当していますが、
あんなにキックの膝を上げる演奏は見たことがなく、
あれでよく遅れずにリズムキープできるなと感心します。
物語は、売れないアイドル(昭和生まれの妖精)と、
売れない劇作家・演出家と、
稼ぎの少ない若者の三人が、
それぞれもがきながら生きている話。
みんな夢を持ったり、困難に直面して夢破れたり…。
うまくいかないのだけれど、みんな必死に生きていることは伝わってきます。
「今の若者は…。」
という言葉をたくさん聞きますが、
時代の荒波にもまれて苦しみながらも懸命に生きようとする姿が見えて、
混沌とした中で、かすかな光を見たような気持ちになりました。
今回は、松井大悟さんが前面にフューチャーされた感じですね。
それにしても、安藤聖さんのアイドルっぷりの完成度の高さに驚きです。
あの「妖精」とか、ちょっとキュンとしますから。
オタクの人たちって、こんな気持ちになるんでしょうね。
そこに「グワシッ!」とかを突っ込んでくる松井さんのセンスが光ります。
横に広い舞台を有効に使った作品で、楽しかったです。
駅前劇場の、ライブハウス感覚の狭さもリアルな臨場感があり良かったですが、
今回のようなスペースのある作り方も魅力的でした。
次回作はどんなふうになるのか、楽しみです。