1/10(金)夜公演 赤坂RED/THEATER
最前列 ど真ん中
まぁ、盛りだくさんの要素で、整理して書くのは不可能です。
物語の設定を書くことだって困難だと思われるけれど…。
場所は、とある病院の診察室。
しかも夜で、無人のはずの場所。
そこに無断で侵入し自主映画を撮影している。
そこに飛び込んできたのが、腹部を刺された高校球児。
彼は甲子園予選決勝で敗れた高校のエース。
その高校は、優勝チームの不祥事により、甲子園に繰り上げ出場が検討されている。
それを妨害すべく、選手に不祥事を起こさせようとする魔の手が迫っている。
甲子園出場が夢の監督。
その娘がマネージャー。
監督を支えていた妻は、嫌気がさして、今回甲子園出場を逃したら離婚すると決意。
選手と、マネージャーの友達が登場し、てんやわんや。
その様子を撮影してムービー「甲子園」に出品。
登場人物は皆、心を病んでいて、映画によってアート治療するという。
暴力の連鎖、さまざまな狂気と凶器が入り乱れたスペクタクル。
これをクロムモリブデン流のユーモアでスペクタクルな展開を見せます。
いやぁ、笑いました。
いつめ社会に潜む『負』の要素を上手く盛り込み、
嫌味のない作品に仕上げるクロムモリブデン。
今回は、やや笑いを強めた作りになっているように思います。
群舞というのか、統一された動きは、今回も魅力的でした。
「むちゃくちゃな映画を撮る」と言って、
そのむちゃくちゃぶりを撮りながら終わるという終わり方にも意表をつかれました。
『甲子園』というキーワードですべてが許され、
『甲子園』というキーワードですべてが縛られ、壊れていきます。
高野連というお上が正義を盾に大鉈を振るうというシステムにも、
世の風潮にも一石投じようとする様子が、
ちょっぴり切なかったりします。
過激な映画を観て、
過激な本を読んで、
過激な音楽を聴いて、
その影響を受けて、大罪を犯すという論理に立ち向かう作品で、面白いです。
『曲がるカーブ』とは、『曲がって(歪んで)しまった甲子園』なのかもしれませんね。
それにしても、母親役の奥田ワレタさんのハーモニカの上手さに驚きました。