二年前、私は一匹のねこに出会いました。その猫は、全身真っ黒ですが、四本の足だけは手袋をはいたように真っ白なのです。目がパッチリと大きく
私が呼びかけると、「ニャー、ニャーン。」と返事をしたのです。私には、その鳴き声が、「おなかがすいたよう」と言っているように聞こえました。私は、その猫がかわいそうに思い、ついつい家まで連れて帰ってしまいました。でも、家につくとお母さんに、「よその猫かもしれないよ。どうして連れて来たの」と怒られてしまいました。けれども、私はどおしてもその猫が飼いたくて、「私がちゃんと世話するから、お願い飼わせてちょうだい。」と、お願いしました。お母さんも、私の真剣な顔を見て、しぶしぶ猫を買う事を許してくれました。それから、毎日、家に帰って猫に会うのが一番の楽しみになりました。猫にえさをあげたり、お風呂に入れたりと、とてもかわいがりました。おばさんが、「あなたにしてはよく続くね。えらいね。」と褒めてくれたこともあります。三日坊主で、いつも最後までやりとげることのできない私ですが、猫の世話は、今でもがんばっています。この猫をミーと名付けました。ある日、お姉ちゃんが「この頃、ミーって、お腹が大きくなっているんじゃない。」と言いました。私はびっくりして、ミーを見ると、ミーのお腹は本当に大きくなっているのです。手のひらで、ミーのお腹をそっと触ってみると、何かが私の手をけっているのです。「すごい。ミーのお腹の中に、本当に新しい命が育っている。」私の手をける命の力強さに感動し、うれし涙が出てきました。それから、ミーのお腹はどんどん大きくなっていきました。ミーの行動はすっかりお母さんらしくなり、家族以外は近づけなくなりました。赤ちゃんを大切に守るお母さんです。「私のお母さんも、私がお腹の中にいる時、こんな風に大切にしてくれたのかな。」と思い、母に聞いてみました。「お母さんは、あなたが生まれてくるのを楽しみにしていたんだよ。だから。あなたがお腹の中にいる時、赤ちゃんに悪いから、大好きなコーヒーも飲まなかったんだよ。それに、転んだりしないように、とても気をつけていたんだよ。」とお母さんは話してくれました。お母さんの私を思う気持ちに、とてもうれしくなりました。「お母さんってすごいな。新しい命を生み、育てていくなんて。」と、感動しました。私は生まれてくる命のすばらしさと、その命を大切に守るお母さんのすばらしさを、ミーを通して学ぶことができました。新しく生まれてくる命、子猫達も大切に育てていきたいと思います。