当時、ベトナム政府が進めていたドイモイ(=経済開放政策)も落ち着き、
大きな発展を始めたばかりの頃だった。
なんの知識のない私、写真人はファングーラオ通りというバックパッカーの巣をうねうね歩き、
安宿を探していた。
エアコン、ホットシャワー付きで12ドル。結構高いほうだ。
宿代は10ドル以下と決めていたが、受付のおねぇ~さんがかわいいので即決めた。
その宿には私の他、3人の日本人がいた。
一人はSさん。
日本で金をためた後、ベトナム移住を目指しているという。
二人目はHさん。
ポルトガルのリスボンから歩いてきたという。ソマリアの紛争では警察に逮捕されたいう前科を持つ。
三人目はAさん。
日本でのOL生活に見切りをつけ、20代最後の思い出にとアジアを放浪しているのだいう。
気に入ったベトナムで仕事を見つけ働いていた。・・・のちに私、写真人のカミサン(=神さん)となる。
Sさんは現在、ホーチミンでベトナム料理店と小物を扱うブティックを経営している。
私より6歳下であるが、精力的にやっている。彼これ13年のお付き合い。
ベトナム移住に向けてSさんに尋ねてみた。
一昨年、ベトナムへは一ヶ月ほど行っているが、あの時とは状況は何か変わったであろうか!?
「富裕層を相手に写真の仕事をすれば、ベンツに乗り、高級住宅で生活できますよ・・・」
なんて、言ってはいたが・・・
メールをしてみる。まだ、ベンツ&高級住宅の生活はまだ可能だろうか・・・世界的不況ではあるが・・・。
「この1,2年で随分変わりましたよ。発展への天井が見えてきましたかね・・・。
以前ほど、ベトナム移住は強くお勧めしませんね・・・。
富裕層相手に結構式等の写真を撮ればそれなりに稼げるとは思いますよ。
ベンツ・・・高級住宅地・・・どうでしょう!?
さらに、2,3年後はどうなっているか予測もつきませんよ・・・」
やはり、ベトナムにも不況の嵐が・・・。無縁とは思っていたのだが・・・。
むずかしいなぁ~??
Hさんからも先日連絡があり、あと中国大陸を縦断すればリスボン→東京まで踏破するという。
歩いて世界を旅行するなんて・・・なんて安上がりな人なのだろう・・・。恐ろしい人だ!
私、写真人のカミサン(=神さん)も曰く、
「また一人で放浪してこようかなぁ~、今の生活に見切りをつけて・・・」
・・・・こちらもかなり恐ろしい人だ!・・・