ブログ始めました。 | 神田松之丞ブログ

神田松之丞ブログ

毎月のスケジュールと、演目などを更新していきます。

また、自主興行のテーマなども書いていきます。

ブログを始めました。
\(^o^)/
ツイッターで書ききれない事などを、毎日こつこつ更新できればと思っています。


軽く講談と松鯉一門の手引きをさせて頂きます。

講談演目は「連続物」「端物」に分かれております。「連続物」は今のTVドラマのように話がつながっている長い話で「端物」とは一席で完結のものをさします。

最も「連続物」の名場面などは、一席物扱いしてそこだけ取り出されて「端物」のように扱われたりもします。

例えば「寛永宮本武蔵伝」は17席もある連続物ですが、(師匠が持っているだけで)有名な所の「狼退治」「熱湯風呂」などは寄席でもかかります。ここらへんは端物扱いです。そこだけ取り出して面白い所を「端物」として独立してくるパターンもあります。

昔はこういう有名な所「端物」だけを読む講釈師を「いいとこ読み」と言われ馬鹿にされました。

ところが現在の講談界の主流は「いいとこ読み」です。

これは「連続物」は面白くないつなぎの所も沢山ありますし、なにしろお客様が毎日講談の寄席に足を運んで頂く事が出来なくなりました。

お客様のニーズも一回一回の高座で全て完結で楽しみたい。それに釈場がないので「連続物」をやる場所もないという。「連続物」のニーズも場所もないのが現状です。

そんな中、現在の講談界で「連続物」に拘りをみせてやってるのは、私の師匠の神田松鯉です。ここまで拘っているのは師匠とその弟子だけといっても、いいすぎではないでしょう。

師匠の連続物は膨大で「赤穂義士本伝」だけで47席も持っています。一席は30分以上あります。
他に「寛永宮本武蔵伝」「慶安太平記」「村井長庵」「畔倉重四郎」「徳川天一坊」「旗本五人男」「柳沢昇進録」「天明白波伝」「太閤記」「水戸黄門記」「祐天吉松」「幡随院長兵衛」などの「連続物」を持っています。

これは恐ろしい数です。他に「端物」も膨大で、師匠の持ちネタは500席はあるという。

恐ろしい執念だと思います。

なぜそこまで拘るのか考えると、これは明解でした。それはこの「連続物」をちゃんと聞くと凄く面白いからです。

ただこの面白さを伝えるのが非常に現在の講談界では難しいので、皮膚感覚で短時間で分かって頂くにはむしろCDが有効です。

貞水先生の「赤穂義士伝15席」廃盤ゆえ、図書館で調べて頂けたら必ずあります。

または浪曲ですが、広沢虎造先生の「清水次郎長伝」「祐天吉松(未完)」こちらも図書館で。

ここらへんを聞いて頂ければよく分かると思います。

落語の「圓生百席」などの圓朝物でも分かります。

このままでは講談の「連続物」が滅びます。こっそり滅びそうという。まぁ、別に滅びてもいいのですが。

それを何とか、後世に継承しようとしているのが松鯉一門です。続)