皆さんお久しぶりです。仁乃です。

桜も咲いて、日差しも暖かくなり、すっかり春ですねー


春といえば、卒業・入学シーズン。

僕の弟も無事に大学への進学が決まり、

僕自身もなんとか進級できたのでほっと胸をなでおろしている次第です。


さて僕は去年の10月から学校近くのゲームセンターのバイトをしているんですが、

いろんな人がいますね。そりゃそうなんですけども。

今日起こった、良いことと悪いことをひとつずつ書きます。


先に悪いこと

中学生くらいかと思われる男の子たちが他のゲーム台のところから椅子を持ってきて荷物を置いたり、自分らもそこに座ったり、場所をとっていました。挙句、彼らが帰った後で掃除をしに行くと、太鼓の達人の筐体の、太鼓の裏にペットボトルやガムの包み紙のようなものを捨てていて非常に不愉快でした。うちの店は飲食禁止の張り紙を出しているのに・・・。もっと別な方法を考えねばならないでしょうかね。飲食だけならともかく、ゴミを平気で捨てて帰るのはいただけません。ペットボトルロケットをお尻に向けて撃ってやりたい・・・ゴホン


いい事

難しい仕掛けの大きい景品をだいぶかかってとった親子連れの方がいました。

帰り際、景品を息子さんが持って、帰ろうとなさって、お母さんがくるっと振り返って

「2週間がかりなんです、ふふっ」

とすごく嬉しそうに言ってらしたのがすごく印象に残りました。

うちの店で粘ってくれたというのもまた有難いことです。感謝感謝。


それでは、年度末で忙しい社会人の皆さんも、まったり春休みを満喫している学生さんも、新年度、がんばりましょうねー(OvO)!

少し憂鬱になる内容を含みますので読む際は注意してくださいね。


僕が少し思ってること。特に誰に対してというわけじゃありませんが・・・。

僕はこれまでに何人か、深刻に「死にたい」と言ってる人と付き合いがありました。

今のところ彼らが消えたという報告は聞かないので正直ホッとしています。

なんというか、思い当たる節とでもいうんでしょうかね、そういうものがあるんです。

彼らなりに大なり小なり悩みやコンプレックスを抱えているらしいのは事実(積極的に踏み込まないので聞かないことの方が多いです)であると思うんですね。


僕が仮説として話していることなので本当かどうかは確実でないということは断りを入れておきます。


彼らの共通点は「自分は不幸だ」と思っていること。


誰しも漠然とした「幸せ」を追い求めているはずです。

現に僕もそうです。

ただ、僕から見ていると、追い求めている幸せは割と途方も無いもののような気がします。

一言で表すと理想が高すぎるわけです。

それが叶わないから不幸だとかそういうのは考えすぎだと思うんですよ。

僕だってそういう夢を見ることはあるけど、そうそう叶わないことは知ってるから、それを不幸だとは思わない。当たり前のことだと思っています。


僕も以前は自分のことを不幸な人間だと思っていました。

今は幸せだと胸張って言える程ではないけれど、不幸ではありません。

僕がここまで立ち直れたのは、周りの人のおかげでもあるし、それによって自分の意識が変わったからなんですね。

それまでは何とも思わなかった小さなことを幸せだと思えるようになったんですよね。

唐突には具体例が思い出せませんが・・・それでもおそらく僕は他人より喜びの沸点が低いはずです。

空が綺麗だとか、雲の形が可愛いだとか、可愛い猫を見かけたとか、お茶が美味いとか、あの店の何が安かったとか、時計見たら誕生日の並びだったとか、そういうこと。


言われないと気づかないような小さなことで喜べるようになると、毎日がほんの少しずつ幸せになって、それを積み重ねて行ったらきっとこの世界も捨てたもんじゃないなって思うわけです。

気分が落ち込んでると「そんなの無理無理」って思いがちだけど、騙されたと思ってやってみてほしいわけです。それで誰かが少しずつ幸せになってくれたらなーって僕は思っています。


それから、君が死んだ時に悲しむ人が必ずいることを忘れないでくださいね。

「自分が死んだって悲しむ人なんていない」っていう考えは捨てた方がいいです。

僕は顔も知らなかった小学校の先輩が亡くなった時、すごく悲しくなりました。

何にもつながりがなくても、自分が名前も知らない相手でも、悲しむ人がいることを絶対忘れちゃダメです。その人たちの涙を流させちゃダメだと思うんです。自分が大切に思っている人がいるなら、余計に。

生きてるうちはやり直せます。人生はゲームじゃないんです。死んだらやり直しはきかないんです。

生きてください。僕も生きてます。

かくして、私と青年と白猫という二人と一匹は内装も外装も時代劇のセットのような定食屋で昼食をとることになった。
「それにしても…、」
猫を飲食店に連れて入るのはいかがなものかと思うのだが…大丈夫なのだろうか?
「?…何か仰いましたか?」
尋ねるかどうか迷ってぼうっとしていたところを青年の声でハッと引き戻された。
「あ、いえいえ何でもないです」
私たちは窓際の席へと案内され、私が奥側の窓際、青年は私の斜め向かい、そして白猫は青年の隣の座布団にすとんと座って、一つ控えめに欠伸をして、言うが早いかほんのり陽のあたる座布団の上で丸まって寝てしまった。
店員がお冷やとおしぼりとメニューを運んできて、お決まりの文句を投げかけて厨房へ去って行った。
青年はおしぼりで手を拭いてお冷やを一口流し込む。
「いやあ、日なたは汗ばむくらいでしたけど、店に入るとさすがに涼しいですねー。あ、メニューどうぞ
そう言うと彼はメニューを私に手渡して、人当たりの良い笑顔でもう一口お冷やを飲んだ。
「ど、どうもありがとうございます…」
お互いにパラパラとメニューをめくる。レディースセット美味しそう。これにしよう。
「そういえば、食事制限とかはないんですか?外食とか大丈夫でした?今さらですけど」
メニューを目にやったまま青年が尋ねてきた。
「いや、そこら辺は特に…大丈夫ですけど…
私は言葉を濁した。
「あの…」
青年は相変わらず人の良い顔をメニューから上げた。
「はい?どうかしましたか?」
少し私はこれから口にする言葉をもごもごして、思い切って尋ねる。
「猫、連れて入るのって…大丈夫なんでしょうか?」
青年は明らかに虚を突かれたという顔をした。ちょっと顎の辺りに手をやって考える素振りをしたあと、
「うーん、多分大丈夫だと思いますよ?」
と事も無げに答えた。
そういえば注文決まりました?店員さん呼びましょうか。と言われ、店員を呼ぶ流れになった。猫…ホントに大丈夫なのだろうか?怒られたらどうしよう…
「お先に注文どうぞ」
「あっ、えっ、えっと、レディースセットください」
「僕はA定食お願いします」
「かしこまりました、少々お待ちください」
店員は何事も無かったかのように厨房へ注文を伝えに行ってしまった。
「ほら、大丈夫だったでしょう?」
にこやかに彼はそう言った。
すぐ隣の大きな窓からは、さっき歩いてきた通りや、名所になっている時計塔、それから塔の周りに掘られた浅い池が見える。
ボーッと外を眺めていると、視界の端に白く動くものが見えて私はそちらに目をやった。白猫がもぞもぞと起き上がってうーんとひとつ伸びをすると青年に向かってニャアと鳴いた。青年は「あぁ、どうぞ」と猫に返事をすると、猫はスッと立ち上がり、躊躇なく店を出て行ってしまった。…ツッコミどころが多くてどこから突っ込めばいいやら分からない。
私は喉を潤すという意味と脳内を整理するという意味とで一口お冷やを飲んだ。
「ねぇ、あなた何者?」
すると青年は「怪しい者ではありません」などとおどけながら一枚の名刺を差し出した。水色の水彩絵の具で淡く塗ったような紙に桜の透かしがうっすら見える。その綺麗な紙にはこれまた流麗な字体で
「おもいで屋本舗 鈴木 稔
とだけ書いてあった。
「おもいで屋本舗…?」
「名前通り、"おもいで"を提供させていただくという仕事をしてるんです」
と鈴木稔というらしい青年が答えた。
「それはつまり、思い出作りを手伝ってくれるってことですか?」
「まぁ、それもありますね」
それ「も」?それ以外なんて思いつかないが、一体何があるのだろうか?
その時、店員がやって来てテーブルの横に膝をついた。
「レディースセットでございます」
と私の前に料理ののった盆を置くと、お冷やを注ぎ足して帰っていった。
「お先にどうぞ?」
と青年が勧めてくれたので
「それじゃあ、お先に。いただきます」
盆の上には色鮮やかな梅そうめんと、冷奴、野菜や鶏肉の天ぷら、薬味皿、つゆ、それからデザートの杏仁豆腐がのっている。見た目にも綺麗だし、何より美味しそう…。
私はひとまずそうめんに箸をつけた。上品な梅の香りが口いっぱいに広がって、鼻に抜けた。のどごしも良い。味もサッパリしていて…おいしー。ふと視線を感じて顔を上げると青年はにこやかに私の食事風景を観察していた。
「…観察しないでくださいよー…」
「あ、すみません。ついつい。」
ついつい、って…。なんだか色々不安。
「そうだ、ずっと疑問だったんですけど、どうして私が…最後なんだって知ってるんですか?」
梅そうめんの虜になる前に色々聞いておかないと。忘れるところだった。
「企業秘密です」
ふふっと青年が笑った。
「じゃあ、どうして私の名前を?」
「それも、企業秘密です」
また青年がふふっと笑う。
「やっぱり、最後…なんですか…?」
青年は私の目を見ながらお冷やを飲んだ。それから彼の頼んだA定食が運ばれてきた。
「珍しいですね」
笑顔はそのままに、しかし神妙な口ぶりで彼は言う。私は彼の言葉の意味がよく分からなかった。
「だってあなたは、自分が若くして死ぬかもしれないという運命を知っても悲嘆に暮れていないでしょう?」
「…形あるものはいつか消えて無くなってしまいますから」
「いや、そうだとしても珍しいお人だなぁ、って思うんですよ」
しばし、おそらく数秒間、私たちは見つめあったまま、言葉を発さなかった。
「…具体的な時期まではわかりませんが、おそらくあなたは助からない。可能性が0とは言い切れませんが、助かるのは奇跡に他ならないでしょう」
あまりシリアスさを感じない程度に真顔で彼は言った。
「…そう…ですか」
分かってはいたのに、言葉は上手く出てこない。
「ま、食べましょう。冷えちゃいますよ?話の続きは他の店をのぞきながらでも。」
こうも気軽でいいのだろうか?
という私の複雑な気分をよそに、青年は「ここ、初めて来たんですよー」などと言いながら遠足に来た小学生のように目を輝かせている。なんというか、悪い人ではないが、このはずし方はわざとなのかどうなのか…どちらにせよ、よく知らない人と食事中に気まずくなるという事態は防げたので助かった。
小一時間かけて私たちは定食をたいらげてお腹を膨らまし、店をあとにした。
あ、お土産に梅そうめん買うの忘れた。