休憩中、図書館で借りた楽譜を見ていると利用者Tさんが一人私の前に座った。
「今度の音楽の時間にどの曲やってほしいとかある?」
と聞くとパラパラとめくりだし、福山雅治の零の曲で手が止まった。
「この曲?」というと、そのページに指を挟んだまま、またパラパラとめくる。
次に倉木麻衣のから紅の恋歌を開く。
「もしかしてコナンがすきなの?」
と聞くと目は合うもののだんまり‥。
発語はあるが、よほどのことがない限り、ほとんど話さないTさん。
音楽も好きだけど歌声を聞いたのは昔に一度だけ。
その歌をどれだけやっても、もう歌ってくれない。
昔はクリスマスソングが楽しくて飛び跳ねていたTさん。
年なのかそんなことをすることもなくなった。
「Tさんがこの曲好きで歌いたいなら、私めちゃくちゃ練習するよ!」
と言うとニヤリと笑ってその場を去っていくTさん。
Tさんにとっては音楽よりもどの曲がすき?とかのやりとりが好きなのかもしれない。
スタッフとマンツーマンで関わる楽しさなのかもしれない。
私もそんなたわいない時間が好きだから。
でも今度は歌ってくれるかな?
そんな淡い期待を持ちながら明日から練習にはげみます!