毎朝、私達は同じバスを待っていた。
 二つ先から乗る私は
 いつもあなたの事を待っていて、
 あなたと一緒にいた朝は晴れの日も、
 雨の日も、多少空が違う毎日だった。

 幾度も繰り返すその朝は
 時は寝ていたり、
 時は喋ったり、
 時には焦ったり、
 情景こそ同じだけれど、
 私にはもったいなく
 一瞬たりともその光景を
 逃したくなかった。

 二人用の座席は狭かった。
 最初は気にしなかったけど、
 次第に私たちにとって
 それは小さくなっていった。

 通路側に座っているあなたは
 いつも一番最初に
 押したいにもかかわらず、
 窓側のボタンを押していて、
 その距離こそいつも私の願いでした。

 ただ、その願いは私だけのようで
 あなたには別の景色を見ていた。


 あれからいくつたったのであろう、
 私たちは相変わらず
 同じバスに乗っている。
 皆座れる中
 あなたはもう座らなくなった。
 私の毎日も終わりを告げた。




 「8:15」




 僕にはいつも
 決まって座る席がある。

 あの日、君が
 僕の席を座ったことをきっかけに、
 君の隣に座ることが僕の日常になった。

 微笑む君に、
 笑う君、
 僕を見る君を
 いつも仕方ないほど見ていた。

 たった10分の遠さ、
 なのに僕はその10分が憎かった。

 僕を囲み関わるもの、
 それがあの席に座るためのもの。
 
 だけどある日、
 君はもうこのバスから離れていった、
 どうしようもなく離れていく様は
 僕の足を固めた。



 今日、君はあそこに座っていた。


 僕は立っていた。


 座れそうにないから。