※涙腺崩壊注意です。涙脆い人気をつけてください。原曲聞きながらだともっと大惨事になります。気をつけてください。
では、本編をお楽しみくださいませ。 星宮叶

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「ねえあたしを褒めて?」(美奏愛)
「美奏愛はいつも頑張ってて偉いね」(誘)
「あなたは綺麗だ」(猫流)
「貴女の愛は優しい」(美虎)
「ちょっとした仕草がすごく可愛い」(咲兎)
「君のことを見ると唆られる」(維鶴)
「貴女の愛の求め方は見事だ」(弦翠)
「あなたはとても畏ろしいお方だ」(桜龍)
「あなたとずっと一緒に居たくて堪らない…」(繭理)

フワッ  シャラン

辺りは美しい音と香りに包まれる。

「いいわねっ…精気もたっぷりだわっ……」(美奏愛)

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「今はもう昔、血で血を洗う時代だった時のこと。麗しく霊妙な御前が街にあった。」(維鶴)
「その御前には、人の精気を吸わなければ死んでしまう、男を異常に愛する奇妙な女が住んでいた。」(美虎)

「その女は捕らわれの男を恋に落としたりする悪名高い女だった。」(モブ)



あたしは美奏愛(みかな)。この街にある御前に住んでいる女狐なの。狐は人の精気を吸わなければ生き永らえることは出来ないんだけど、長く生き永らえるためにはたくさんの精気を吸わないといけないから、あたしには8人の愛人がいるの。

あの人を肌で感じるために……


「悪き奇妙な女だな。お前は」(モブ)

「止してくれないかしら?あたしのことを奇妙だとかそんなこと言わないでくれるかしら?」(美奏愛)


いい加減にしな。あんたには一生分かんないよ。

あたしは呆れる。いつもこうだから。


「あたしが世の中の平和を取り乱しているだなんてどういうことなのよ。あたしはただ…ただあの人を愛しただけなの……」(美奏愛)


ただ、ただそれだけなの……


「人を愛しただけだって?ありえない。」(モブ)
「そうだ。そんなことがありえてたまるか。」(モブ)
「俺らが断言しても意味ない。変に手を出すのはやめておくべきだ。」(モブ)


うっさいわね…あんたたちには関係ないから…


〜時は遡り〜

「さあ、そこの狐よ。お前に死ぬ時が来た。」(白虎隊の隊長)


白虎隊とか言う人はそう言って剣を突きつけた。



幼かったあたしはその時初めて自分が狐であることを知った。



「ねえ…居なくなってしまうの……?あたしよりも先に逝かないでよ…先に逝ってしまうのならあたしはあなたのことを知りたくなかった………。」(美奏愛)



あなたが…居なくなったら、あたしは…どう生きればいいの…

あたしは泣きながら自問する。


「美奏愛、今から言うこと忘れないで。星が落ちたって、僕の奏でる音が消えたって、僕はどこにも行かないよ。僕は誰かの心の中で生き続ける。」(???)

ヒュンッ     グサッ

バサッ


矢が飛んで、あの人に刺さってしまった。そして…あの人は倒れた。


「ねぇっ…!起きてよ!起きてよ!起きて…よっ…!なんで死んじゃうの!?」(美奏愛)


あの人に会いたい。生きてるあの人に会いたい。


でもあの人はあたしが抱いてるまま熱を失った。



「あの言葉絶対忘れないから…!」(美奏愛)




それからあたしは、人間が惚れるような女狐になることを決めた。


あの人を…肌で感じたいから……感じたいんだ……



〜時は現代に戻って〜

「「「「なあ、美奏愛。それってつまり僕らとの愛は馬鹿馬鹿しい化かし愛だったって言うのかよ?」」」」(繭理、弦翠、誘、咲兎)

あたしの過去を知った愛人に問い詰められるあたし。


そ…れは……


「「「「はいはい、どうせまたはぐらかすんだろ。」」」」(維鶴、猫流、桜龍、美虎)


あたしは悪者じゃない…悪者じゃないのに……


「………どうせまたあたしのせいにするんでしょ。」(美奏愛)


わかってる。わかってるけどっ……


「「「「愛というのは、時に華々しく僕らを離しあう」」」」(維鶴、繭理、誘、猫流)


華々しいもんじゃないわ!!あんたたちが…あんたたちがっ…!!あたしとあの人との“愛”を引き離したくせにっ!!!



…急に手が震えた。

…あたしはなにか嫌な予感を感じた。


「「「「「「「「道を開けよ。美奏愛様のお通りだ。」」」」」」」」

カラン コロン       シャンシャン

あたしは鈴を鳴らして探すわ。


あの人を。



ある日、またあたしは精気を吸っていた。

「ねえ、死ぬまでずっとあたしに惚れて?」(美奏愛)

嫌な予感に怯えて複雑な気持ちになりながら、あたしは求める。

「愛してるよ」(繭理)

はっきりという繭理。

「美奏愛のことが好きだ」(桜龍)

真っ正面から言う桜龍。

「貴女のことが愛おしい」(弦翠)

告白する時みたいに言う弦翠。

「あなたが恋しい」(維鶴)

ちょっと背伸びしたことを言う維鶴。

「狂おしいくらい好きなんだ」(咲兎)

幼い子供みたいに言う咲兎。

「なぜこんなにもあの娘(こ)は可怪しいんだ」(美虎)

演者みたいに言う美虎。

「僕のことを褒めてもらったが、僕には口惜しいのかもしれない」(猫流)

控えめに言う猫流。

「僕は美奏愛がいなければ侘しいよ…」(誘)

命からがら地獄から抜け出したように言う誘。

シャラン   フワッ
「やっぱいいわね…ふう…お腹いっぱい」(美奏愛)


お腹いっぱいにはなれたけど…あの嫌な予感はなんだったんだろ…気になって仕方がないわ……


あたしの最期が…近いかもってこと…………?



〜3年前〜
「天竺之国から来た幾重もの装束を纏った花の香る彼女。愛する人を探すために倭之国に来た彼女は「彼女を捕らえよ」という密告と戦っていた。」(猫流)

「「「彼女は殺生石を奏でた」」」(弦翠、繭理、桜龍)

「僕らはあなたを守るために奪いあい、罵倒しあった。宴の中で刀を抜き戦った。あなたが求める“愛する人”を探すにも地獄が待っていた。」(誘)

「「「彼女は殺生石を奏でる」」」(弦翠、繭理、桜龍)



「「「「「「「「さあ、彼女が舞い踊る姿を拝めよ。」」」」」」」」


なんて言ってたのにね。今となっては…



あれから4年の月日が経った。



「美奏愛、観念せよ。正体を晒せ」(維鶴)

そうやって維鶴は剣を突きつける。

「あたしはまだ死なない、死なないの…!今死ぬわけにはいかないの!」(美奏愛)

『観念せよ。正体を晒せ』だなんて……あたしは愛する人を探してるだけなのに……


「人に化けて人を愛しただけ。それだけだったとしても狐は罪に問われてしまうのだ」(モブ)
「狐は人に化けて人を溶かしていく。罪に問われて当然だ」(モブ)
「言うまでもないな」(モブ)


またそうやってあたしのことを悪者に仕立て上げて……



「美奏愛、もう…終わりだ。」(維鶴)

スッ…      パカッ    カランコロン     シャンッ

鋭い剣があたしのお面を貫く。

割れたお面と鈴の音が鳴り響く。


終わりじゃない。そう思っていたけど…


お面が割れた。お面が…割れてしまった。あたしの命はもう長くない。鈴も壊れてしまった。



…あたしはもう、長く人には化けられない。


「あんたもあの人を奪りにきたの?だったら喜んで差し上げるわよ。だって…あたしはもう長く生き永らえることはできないから……」(美奏愛)


あたしは幻覚に惑わされる。いつものあたしには到底出ない言葉。

狐の時の癖が出ちゃう…あの目はあの人には見られたくない、見せたくないのに……


誰にも愛される“人”になりたかったのに…。



「「「「即ち愛とは日々変化するもの。愛とは奇々なもので生き甲斐にも成りえてしまう。」」」」(咲兎、繭理、誘、美虎)


愛はあたしの生きる理由…。生きて…いられる理由。


「「「「はいはい、そうだろそうだろ。」」」」(桜龍、弦翠、維鶴、猫流)


他人事のように話してるけど、あんたたちもでしょう!?


「もう…どうせあたしなんて要らなくなってしまうのでしょう……?」(美奏愛)


あたしはわかってた。こうなることも……。


「「「「愛は時に人の心を騙し、汚すのだ」」」」(維鶴、繭理、誘、猫流)


人の心を騙すことしかあの人を探す手段はないから…


「「「「「「「「道を開けよ。美奏愛様のお通りだ。」」」」」」」」

カランコロン   シャン…

壊れた鈴の音も鈍くなってきた。あたしは…




「あたしを死ぬほど褒めて?……やっぱり…あたしの最期が近いみたい…」(美奏愛)

最後を知ってしまった。でも、もう後戻りはできない。

「美奏愛は生きてて偉いね」(誘)

誘はあたしの生きる理由をあげようとしたのかな…

「やっぱり美奏愛は綺麗だ」(猫流)

猫流はどことなく淡く儚げに言う。

「どこまでも優しいんだね、美奏愛は」(美虎)

あたしを包み込むように美虎は言う。

「無邪気なその姿が可愛い」(咲兎)

咲兎はあたしの不安を忘れさせようとしてくれたのかな…

「その言葉を聞くとどうしても唆られてしまう…」(維鶴)

維鶴はあたしを繋ぎ止めようとしてるのかな…

「最後まで見事である。我らがあるべき姿だ」(弦翠)

弦翠は尊敬の眼差しをあたしに向けて言う。

「あなたはやはり畏ろしい存在だ」(桜龍)

桜龍は到底届かないところを夢見ているように言う。

「見てるのも辛くなるくらい堪らないっ…」(繭理)

繭理は“好き”をちょっと遠回しに言う。


シャラン   フワッ

花が仄かに甘く香る。鈴は悲しさを唄う。

「…いいわね……でも…満たされた感じはしないわ…」(美奏愛)



もうお面のないあたし。生きてる意味…あたしが人である理由……

「あたしは汚れてしまった。もう元には戻らない。戻れない。」(美奏愛)



「昔は今、血で血を隠す時代。僕らは女狐を愛した。女狐は『自分は汚れてしまった。もう元には戻れない』と…」(繭理)

「女狐の命も終える。我らは契りを果たすのだ。女狐よ、なぜ……何故、男を愛する?」(維鶴)


なんでそんなことを聞くの…



「だって…あの人と声も顔も何もかも同じなのよ……ほんのちょっとした仕草でさえも…」(美奏愛)


もう…帰って来てくれないから……


「あの人じゃないってわかってる…わかってるよ……!わかってるのにっ……!!何度も恋をして、好きになってしまうのっ………」(美奏愛)

ヒュンッ     ヒュヒュンッ

矢が飛んだ音がした。鮮やかに吹く風のように。

グサッ      グサッ

矢はあたしに突き刺さる。あの時のように………


「たとえ星が落ちたって…あたしが奏でる音が消えたって……あたしはどこかへ行ったりしない。あたしは…誰かの心の中で生き続ける。」(美奏愛)


声を振り絞る。倒れようが、ただ必死に。


「あの人が生きた証を……全てを……どこへでも連れて行くから…………」(美奏愛)


あの人が居なかったことにはしたくないから。


力が抜けてあたしは倒れ込んでしまう。


「美奏愛、美奏愛っ…!」(誘)

眩んで少しぼんやりとした視界から誘が駆け寄ってあたしを抱き抱える。


「ねぇ…お願い。最期にあたしを褒めて…あたしに惚れて…あたしに最期の精気を……ちょうだい?」


もう最期だから……


「誘、褒めて?」(美奏愛)

「偉いね。」(誘)


誘の優しい声。


いつも誘はいっぱいあたしのこと褒めてくれた。誘は偉いよ…。




「猫流…褒めて…」(美奏愛)

「綺麗だ。」(猫流)


大人の色気がある猫流の声。


猫流…あの時助けてくれてありがとう。猫流は綺麗だね。




「美虎…褒めて…」(美奏愛)

「優しい。」(美虎)


心があたたかくなる美虎の声。


美虎はいつも言ってたよね…優しいって。美虎も優しいよ。




「咲兎…褒めて……」(美奏愛)

「可愛い。」(咲兎)


ころんとしてて可愛い咲兎の声。


咲兎は会うたびに可愛いって言ってくれたよね…そんな健気な咲兎が可愛いよ。




「繭理、惚れて…」(美奏愛)

「愛してる。」(繭理)


繭理のはっきりした声。


あたしのことを大切に愛してくれた繭理……繭理、あたしも愛してる。




「桜龍…惚れて……」(美奏愛)

「好きだ。」(桜龍)


守って貰いたくなっちゃうような桜龍の声。


桜龍は好きだってストレートに言うよね…その言い方、あたしは好きだよ。




「弦…翠…、惚…れて……」(美奏愛)

「愛おしい。」(弦翠)


王子様みたいな弦翠の声。


あたしが愛おしいって…あたしも弦翠のことが愛おしくってたまらないわ……




「維…鶴、惚…れ………て……」(美奏愛)

「恋しい。」(維鶴)


維鶴のあどけなさが残ってる声。


維鶴が…恋しいって…普段全然言わないのにね…あたしも維鶴のことが恋しいよ……




「ありがとう……あたしはちゃんとあの世に逝ってあの人に逢えるかな……」(美奏愛)


「でも…あたしは、罰を…受けに行くんだ。」(美奏愛)

あたしの…最期の覚悟。




バサッ        …カラン

壊れた鈴は悲しく、虚しく鳴り響いた。

花の香りはもうしない。


…もう終わり。全て。


愛だけ求めても何にもなんないね。



「「「「「「「「美奏愛っ…」」」」」」」」




人は愛に生きたのか愛に生かされたのか分からなくなってしまった。