In the world only of me

In the world only of me

かなでがだらだら喋ったり、歌詞のせたりしてます

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(雨が冷たい…
あれからどれだけの時間歩いてるんだろう…
もう…歩けない、歩きたくない…)

私はその場に座り込んだ
行く宛なんてないのに家を飛び出して帰る場所もない…

(私このまま死ぬのかな…)

『…っ』

死という恐怖が私を襲う

(いやだ、死にたくない)

『…ひっくひっく』

涙が溢れてくる
もう、雨か涙か分からないぐらいぐしゃぐしゃになった水たまりにうつる情けない顔

ふと雨が止む

(…?)

見上げると差し出された傘が

『…誰?』

私の問いかけに傘の持ち主は優しく微笑み

『お嬢さん、こんな所で何をしてるのかな?』

質問を質問で返された…

『…』

私があまりにも怪訝な顔をしていたのか相手は

『はは、そんな顔しないで。俺は速水隆、君は?』

私は直感でこの人は敵ではないと思った
分からないけど、そう思えた

『私は、諏凰院雅』

『雅ちゃんか、最初の質問だけど、こんな雨の中で何をしてるのかな?お家に帰らなくていいの?』

ど直球な質問をしてくるなと思いながらに、どう返答しようか考える

(ここで嘘をついても意味がない…それにこの人は信用できる…気がする)

『家出した』

『ストレートだねー、ちなみに行く宛は?』

『…』

正直、めんどくさいと思った

『まあ、行く宛があったらこんな所で座って無いよね』

(前言撤回、コイツ敵だ
うざい)

そう思った瞬間、速水隆と名乗る男性の背後から人参らしきものが飛んできた
それは、とんでもない勢いで速水隆の後頭部にぶち当たった
私は初めて食材が凶器になることを知った
片手に買い物袋を持ったその人は鬼のような形相だった

『買い物の途中で何道草食ってんの!!』

『痛いな~、百合菜。ひどいじゃないか』

(恋人同士なのかな)

『いつもいつもいい加減に…!!』

『まあまあ、百合菜、雅ちゃんが怯えちゃってるから』

(このタイミングで名前を出すなよ)

『雅ちゃん?え、ちょっとどしたのこの子びしょびしょじゃないの!!』

『百合菜とりあえずおちつ』

『落ち着いてらんないわよ!!悟、荷物持って!!』

(悟?)

『…うん』

そこには私と年齢は変わらないであろう少年がそこにいた

(なんだろう、凄く…)

『雅ちゃんだよね、とりあえず家に来なさい!!』

『え?ちょっと、まっ…』

百合菜さんは有無を言わさず私の腕を掴んで引っ張っていった