下校時刻を知らせるチャイムが鳴り、遂に教室には自分以外誰もいなくなった。おおよそあと10分もすれば生徒会である大江が最後の見回りを終え、一緒に帰ることになるだろう。本当は校則で禁止されているが、内田は暇潰しにピコピコとウィニングトゥエルブをやっていた。
「失礼します、生徒会でーす」
「………あれ」
「下校時刻を過ぎているので帰宅してください。あと校内でのゲームは禁止されています」
内田の予想と反して、教室にやって来たのは生徒会長である土手であった。
しまった、今日の見回りは大江の担当ではなかったのかと、苛立つ気持ちを抑える。ならば大江は一体あと何分で帰れるのだ。今日は夜から見たいサッカーの試合があるのだった。
「あの、大江知りませんか」
「大江?アイツなら体調悪いって今日はもう帰ったぞ」
まじか、と携帯を開く。そこには新着メールが1件、大江からごめん、先に帰る(T_T)とあった。
思わず舌打ちしたくなる。大江のことはそれなりに好きだが、時に起こす勝手な行動は苛立って仕方がない。だから時々どうしようもなく遊びたくなるのだ、と、目の前の土手を見て思った。
「大江が勝手に帰っちゃったんですけど」
「?残念だったな」
「土手先輩、代わりに遊んでくれませんか?」
担当の見回りを終え、中村は生徒会室に戻る途中だった。文化祭も終わったため遅くまで残る生徒は殆どおらず、スムーズに見回りを終えることが出来た。今日は早く帰れそうだと思った。
「ん?」
1-1と書かれた教室から、何やら話し声が聞こえる。こっちは土手の見回り担当であったはずだが、まだ終わってなかったのであろうか。
なにぶん人を注意するのが苦手な中村は、土手のように堂々と教室に入っていくことが出来ない。こんな時間まで残ってるなんてどうせろくでもない奴らに違いないと思いながら、とりあえず教室の後ろのドアをそっと開き、中にいるのが自分に注意出来そうな奴らか確かめようとした。
「………?」
なんだ、土手かと思ったのも束の間、どこか様子がおかしい。一緒にいるのは確か大江と仲の良い内田って一年生であるが、その雰囲気が普通ではない。
普通だったら、土手があんな風に黒板に押さえつけられないはずだ。
内田の表情は後ろ姿で窺えないが、どうやら土手は嫌がっているような素振りが見えない。二人で何やら話しているようだが小声のためよく聞こえない。二人の距離が近付いていく。
「…~~~っ!」
これ以上は見てはいけない、そう判断した中村は急ぎ足で教室を後にした。せっかく今日は早く帰れると思ったのに、生徒会長が戻ってこないと帰れないではないか。
ずんずんと、生徒会室まで歩みを進めていく。ふと、先程の光景が蘇る。するとまた何故か胸が痛んだ。
「………なんで」
なんで俺、こんなにショック受けてるんだろう。そして何故だか寂しくなった。
***
とぅーびーこんてにゅー