BELLRING少女ハート、7年ぶりの新曲

BELLRING少女ハート、通称「ベルハー」。

2012年のデビュー以降、その音楽性と壮絶なライブで圧倒的な熱狂を生み出すも、惜しまれながら2016年に「崩壊」(実質的な解散)、そしてコロナ禍も落ち着きを見せ始めた2023年、ついに新体制での活動を開始。

かつてライブハウスを黒い渦に巻き込み、伝説を残してきたそのグループが7年ぶりに新曲を発表した。


今回はその新譜について特筆すべき音楽性、そして7年ぶりの出演となるもゲリラ豪雨に見舞われたTIFでのステージについても語りたい。


【音源】




 

ベルハー新曲はまさかの”ドラムンベース”

ベルハー7年ぶりの新曲のタイトルは『She’s Rain』、私が思うに、この曲で語るべきは”ドラムンベース”、そしてTIFでのステージに準えたとも思える”歌詞”だ。


まずは、ドラムンベースについて話していく。


ドラムンベースは音楽ジャンルのことで、BPMが150から170とかなり高く、その非常に速いテンポの変則的なドラムビートにうねる様なベースが重なる、いわゆるクラブミュージックだ。


ベルハーの音楽と言えば、ニルヴァーナを連想させる『c.a.n.d.y』などのグランジや、『プラスチック21g』『World World World』のようなサイケ、そしてエレクトロニカなどが印象的だ。


ベルハーを聴く人達の中には、ベルハーの音楽ジャンルは”ベルハー”だ、という人が多い。きっとそれは彼女たちが音楽ジャンルの範疇を超えるステージを魅せてきたからだろう。


とはいえ、個人的にはベルハーが意識的に避けているであろうジャンルもあるように思う。

EDM、ヒップホップ、そして今回の『She’s Rain』のようなドラムンベースなどのジャンルはこれまでのベルハーでは考えられなかったのではないだろうか。同じ事務所(AqbiRec)所属のグループだとMIGMA SHELTERやFinger Runsあたりが手をつけているジャンルだ。


『She’s Rain』はジリジリとした雨のノイズから始まり、イントロのピアノ、バラードすら連想させる湿っぽい歌い出しから徐々にドラムンベースが侵食していく。このベルハー独特の“少女が真夜中に自殺しそうな闇感”がなんとも言えない。ドラムンベースなのにドラムンベースぽく感じさせない雰囲気が私は好きだ。


新体制となったベルハーの1発目のシングルで意表をついたジャンルのチョイス、これはシン・ベルハーを象徴する1曲と言えるのではないだろうか。



 

ゲリラ豪雨で中止となったTIFスカイステージ

次は歌詞についてだが、その前にベルハーが7年ぶりの出演となったTIF(Tokyo Idol Festival:国内最大級の女性アイドルフェス)について触れておきたい。


ベルハーの出演は最終日の8/6、スカイステージとフェスティバルステージ(ガンダム前)の2ステージだった。

当日は30℃越えの真夏日にもかかわらず、数時間おきにゲリラ豪雨を繰り返し、非常に不安定な天気が続いていた。私もベルハーを見る為にスカイステージに足を運んだのだが、ちょうどスカイステージが始まる頃には土砂降りになってしまい、待機中のファン達からも心配の声がちらほら聞こえていた。


そして雨が降り続ける中ステージが始まった。ベルハー前の数グループが雨の中全力で歌い踊り、いつも以上にキラキラした姿を見せ、ベルハー待機組も期待したことだろう。だがそんな思いも届かず、よりによってベルハーの出番直前でステージ一時中断が宣言されてしまった。

会場のアナウンスに従い、ファン達はスカイステージ下の階段で再開を待っていたが、ついにその枠のスカイステージは”中止”となってしまった。


スカイステージが中止となってしまったので、ベルハーの出番はガンダム前のフェスティバルステージのみ。

その中で、メンバーの1人(東雲さんだった気がするがうろ覚え)が「スカイステージの中止が決まった時、吐きそうなほど悔しかった」とコメントしていたのを覚えている。実際、私たちファンも死ぬほど悔しかった。


前振りが長くなってしまったが、新曲『She’s Rain』にはこのTIFスカイステージの話を準えたとも思える歌詞がある。


「こんなはずじゃなかったんだの繰り返し

でもそばにいる君を『雨』と名付けた」


TIFを経験した今、この部分からはスカイステージが中止となったこの上ない悔しさ、そして彼女達のステージが見れることを願い共に雨に打たれたファン達を表現しているように思えて目頭が熱くなる。

”『雨』と名付けた”のフレーズもまた、ステージを中止にした原因と遠ざけるのではなくその現実を受け入れようとしている歌い手の強さを感じさせる。


メンバーの東雲こずゑさんは自身のX内で

「絶対絶対この気持ち忘れない 何度でも甦ってリベンジします」とこの時の悔しさ、そしてスカイステージへのリベンジに向けて熱く綴った。


これは余談だが、歌詞内の「Swinging slowly in the rain」の”Swing”はやはりジャズでよく聴くあの音楽用語で合っているのだろうか?

彼女達がこの曲をどのように育てていくのか、どのように育っていくのか期待が膨らむばかりだ。

まだまだ想像が膨らむこの曲を聴き倒していきたい。