TOWER
エレベーターのあかり
とおい
空までの旅の間
君と
ただのありふれた雑踏になる
ここはあまりにも
ひとびとのくらしから遠すぎて
きっと天国に近いのだろう
だから
なんだか生きている実感がない
開いている窓がないから
海の目の前なのに
潮の吐息すら感じない
閉じ込められたわたしたちを
海がみつめる
とおく遥かな
海がみつめる
ここからわたし一人くらい
ほんとうにいなくなっても
もしかしたらはじめから
嘘だったかもしれないと
地上に降りる頃には
君はわたしを思い違いに出来るかも
とおく不自然に意図的に封じ込めたものであっても
それが当たり前に
薄いシフォンを重ねた
向こう側に目を細めるような
いつか少し無駄に感じて
後回しになるものでいい
ほんとうなんて
あっというまに
嘘に出来るのだから
君とありふれた雑踏になる
広いとおい
海にみつめられる
ただの雑踏になる
photo:'pure