ここにあるのは
ミュージカル「ホイッスル ダウン ザ ウィンド」
のチケットだ。

アンドリューロイド・ウェバー作の日本では初上演される期待の作品。

去年の抽選販売で奇跡的に当選。
しかも写真を良く見て欲しい、席の番号を。

1階A列22.23番。

日生劇場の座席表と照らし合わせると…

1番前のド真ん中!!

これはヤバい!

以前「レ・ミゼラブル」を帝劇千穐楽、1列目ド真ん中で観るという一生に一度あるかどうかの奇跡を経験し、もう無いだろうと思っていたら早々にまた来た奇跡。

これは楽しみで仕方ない。


そして、月日は流れ公演間近。

世間からはマスクが消え、夢の国も休園。
次々に舞台の中止が増える中
何とか抗い、策を講じて上演をしようとする者は世間からの袋叩きにあうという異常な状況。

そして、「ホイッスル ダウン ザ ウィンド」にも当然のようにその余波は襲いかかってきた。
まず3/7の初日から10日までの中止が発表された。
そして数日後にはさらに政府の要請により15日までの中止が発表。

もう一度チケットを良く見て欲しい。

3月16日。

ギリギリセーフ!!

奇跡は続いていた。

あー 良かった…観られる!


しかし


その2日後、政府の方針転換により
「さらに10日間程度の自粛を要請したい」
という、曖昧な発表とともに
僕の奇跡は終わってしまった。

翌日、19日までの中止が発表された。


言葉にならない悔しさ。
そして、この国の舞台やエンターテインメントに対する社会的地位の低さに改めて絶望した。

「演劇の死」

を叫んだ野田秀樹氏。

でも、これはきっと内側の人間にしかわからないし、響かないだろう。
その世界居る若しくは居た人間なら、痛い程わかるはずだ。
この唐突で一方的な強権は多くの死を生むだろう。
それは文化的な死という意味で。
特に小さな団体が受けるダメージは、相当なものになると思うし、これによって辞めざるを得なくなる人々も大勢いるだろう。


ウィルスが拡大する中、何の策も講じずに感染源を迎え入れ続けたのは誰か?
自身が批判に晒された途端、急激にハンドルを切り世間にパニックを招いたのは誰か?

何故、そのツケを払うのが我々一般国民なのか。
そして、芸術文化なのか。

そんな人間がトップに立つ国で、文化が育つわけなどない。

 ホイッスル ダウン ザ ウィンドが観られないことは単純に残念でならないし、悔しくてたまらない。
「払い戻しがあるからいい」
「またやればいい」
なんてのは的外れもいいトコだ。

舞台は生き物であって、その一瞬はその瞬間にしか存在しない。
風に記された文字なのだ。

同じものを2度と観ることはできないのだ。

「感染を広げるな」
などと批判している人の殆どは、舞台など興味もない人々なのだろう。
ただ、策を講じて続けることより、
ただ身を潜めることが安全なのかどうかは疑問だ。

ウィルスよりも恐ろしいのは人間なのだと
今回改めて実感させられた。

ただ1つ言いたいのは、ウィルスがあってもなくても
現場の人間はいつも命懸けで創ってるということ。


まぁ、そうじゃない人もいると思うけど…

では。