「お母さんって・・・いいたかった」
ジュリアたちはゆっくりと流れる川を眺めながら後悔していた。ローラはそれをきいてうなづいてあげた。だけどローラも悲しんでいたのだ。・・・・やきもちというべきなのだろうか。すると急に
「若者よ。後ろばかりみつめるな。前を見よ!!」
背後から声がした。いきなりだったから二人はすこし警戒している。ジュリアは威嚇しながら
「お前、誰」
と、聞いた。すると、その人はこんなことを言い出すのだ。
「私は自分の一生を捜し求めるもの。時には太陽にもなるし陰にもなる。その今を探すものというべきだな」
ジュリアは唖然とした。「は?なに?」と言いたげな顔をしている。ローラはわけがわからなくなって少し混乱した。するとしばらくシンとして、その人がしゃべる。
「・・・そのうちわかる。旅人のたまごよ。そうだ・・・東に村があるそこにいったほうがお前たちの悩みも消えるだろう・・・きっと」
そういって、その人は過ぎ去ってきえていった。2人はその人がみえなくなったあともしばらく ぽかん としていた。するとジュリアは
「あいつは・・・言ってることが深いのか??それとも・・・病んでるのか??」
ジュリアは謎めいた顔でローラに聞く。ローラは「さぁ・・・」と首をかしげた。怪しい人だったけれど、私たちは目的地も特になかったので、東にむかった。
そうして、二人は東にある村を目指した。ゆっくり、気ままに。こんな悲しいことも、橋のこととかも、すべて忘れることができるのだろうか・・・・ローラはそんな期待を膨らませている。それだけで気持ちが軽くなったようだ。
だが、ジュリアは・・・・期待を大きくしなかった。その願いがかなわなかったときのショックをへらすためにも・・・そもそも橋のことをわすれたいとはおもわなかった。そこにも楽しい思い出はあったから。そんな想いを抱きながらも次の東の村“シンガンソン村”という所についた。
そこについて二人は喜んだ。だけど、それとうらはらに、不思議におもった。
ここにはまるで活気どころか人気も感じられないのだ。ジュリアは近くにある家を全て回った。だが誰一人いないのだ。そして最後の一軒。
「こんにちわー。誰かいませんかーー!?」
また返事がしない。ジュリアは少しイラついて、壁を蹴って大きな穴を開けた。
バゴォォン!!
「キャャャャ!!!!」
大きな音と同時に悲鳴が聞こえた。ゆっくり横を見ると人がいた。親子だった。女の子とお母さん。
「でなくてすいませんっっ!どうか命だけは・・・!!」
震えながら言っている。
(なんで命だけは・・・?とかいってんだ??)
ジュリアは混乱しているとローラが、
「私達、何も変なことするつもりはありません。妹が壁に大きな穴をあけてしまってすいません。今から直しますので。」
と、二人に優しい笑みを浮かべて作業についた。親子はぽかんとしている感じだった。
ジュリアは木を運んでローラはその器用な手で、どんどんと直していった。
ー1時間後ー
ローラは元通りに修復した。
「ローラねぇちゃんすげぇー!!」
と、地味にジュリアは興奮(?)していた。ローラはそれを見て少しあきれたように、
「ジュリアが壊したんでしょ??」
といった。ジュリアはエヘへといたずらっ子のように舌をペロッとだして、反応した。やわらかい雰囲気に親子も笑えた。
グオーーーーーーーーッッッ!!!
大きな声がした。それと同時に親子は固まった。村の外にでかい怪物そして小さな人間がいる。人間が
「ハッ、今日も色々もらっていくぜぇ。」
親子はびくっとして、泣きそうになった。ジュリアはその光景を見て、あの日をおもいだした。橋にいたときと同じ光景に二人は見えた。ジュリアは思いっきり怪物と男を殴りかかった。男は吹き飛ばされた。
「なんだこいつ・・・・!!!」
男はビビッていた。ローラは、ジュリアに近づこうとしたら、
「ローラねぇちゃん。ごめん。じゃま。こいつら本気で倒すから。危ないよ。」
「・・・・・!!!!!」
ローラはびっくりした。-邪魔ーそうか・・・私は・・・邪魔なんだ・・・
「・・・!うん・・・」
ローラは泣きそうになった。が泣けなかった。ここには親子がいる。気を使わせてはいけない。みんなに心配させちゃダメだ_。ただでさえ役に立たないんだから。そして泣きそうな笑顔で、
「大丈夫ですよ・・・うちの妹は半端なくつよいんですから。」
親子はそれを見て、うなずいた。
ジュリアはどんどん怪物と男を追いつめていく。男と怪物はその強さに圧倒されて逃げ出そうとした。だが、ジュリアは悪魔のように逃げさせようとしなかった。殺そうとしている。
「だめ・・・だめ・・・だめよ!!!!!ジュリア!!!やめなさい!!!」
ジュリアはとまった。そしてローラの方に目を向ける。ジュリアはまだ悪魔のような目をしている。
「なんで?あいつら・・・・・・」
「そうね。でもね。ジュリアは同じになろうとしているっっ!!」
その時いつも優しいローラが激怒した。たいていのことは何でも許してくれる。だがとても妹想いなものだったので、本当にやってはいけない事は本気で怒る。こんな姉は見たことがない。相当やばいことしてるのだろうか・・・ジュリアはうなづいて、怪物と男の胸倉を掴んで、
「今まで盗んだもの、全て返せ!そして一生ここに来るな!!!!」
ギロリとにらむ。その圧倒的な気迫にまた負けて、男は、
「わ・・わかった!返すっ!許してくれ・・・許してください!」
といった。胸倉を、乱暴に放した。
「お前らさ。ここの村の人たちになにやってたのかわかってんのか!?許すわけねーだろうが!!早く盗んだもの返せ!ここに一生くるんじゃない!!」
「はい!」
そう言って怪物と男は風のように走って逃げていった。
「おねぇちゃんすごいねっ」
ジュリアのほうを見て女の子は言う。ジュリアはにっこりとわらって、
「あそこのねぇちゃんもすごいんだぞ。あたしの誇りなんだもんな。」
「ホコリ・・・」
「ぇ・・・そっちのホコリじゃないよ。そのうちわかるからね。」
ジュリアは女の子の頭をなでた。ローラは頬に涙がつたっていた。-誇りーそんな風に思っていてくれたなんて・・・なんで私なんかが誇りに思われているのだろうか・・・でもうれしい・・・ローラはジュリアにむかってこの世で一番優しい笑顔を向けた。そしてこう言った。
「あたしもジュリアがあたしの誇りだからねっっ!」
「アリガト!」
そう言ってジュリアも笑った。やがて、怪物と男に盗まれたものや色々な人たちが、村の外から村へ帰ってきた。
この村にはまた笑顔が戻っていった。
