ここにあるものはほとんど全て、私の所有物であって、誰かがいつのまにか連れてきたものではない。
毛の1本すらそう。
夜の匂いもそう。
今は夏で、夏の匂いが窓を開けると滑り込んできて皮膚をさわさわと撫でる。
これも私はひとりで所有できる。
車の通るごおという尾を引くような曖昧な音でさえも。
ここ最近は寝つきが悪くて、1度寝て1度起き、そして目覚ましの鳴るまで、寝たのだか寝ていないのだかわからないような時間を過ごす。
返信していない往復はがきの期限が明後日で、今から出してももう間に合わない。
仕方ないから直接連絡を取ろう。
せっかくの往復はがきなのに。
私の所有物になった時点で、おもちゃだ、と思う。
私の所有物は今までずっとおもちゃしかなかったからだ。
あったら嬉しい、なかったら悲しい、けれども生きるためや、何かのために絶対になくてはならないということは無いものたち。
今は、どうだろう。
冷蔵庫、洗濯機、テレビ、そういうものたち。
どっちだろう。
絶対に必要とはやはり言い難いのか。
私はどこまでも、私のためにどうしてもこれがなくてはいけないということを、必要なのにも関わらずはっきり言ってしまうことができない。
なくなてはならないものなどは、持たないに越したことはないと思うからだ。