陶芸家、山田和 さんは友人。
東京で個展が有れば
必ず初日に行きます。
本人がいてもいなくても。
で、本人が在廊となれば
期間中に三回は行きます。
初日と中日と最終日と。
込み入った話しも何も
無いのですが。
だから会場で
のんべんだらりんとしています。
コロナ禍が過ぎて
個展で
本人の常駐が再開されて
当然の事ながら
最終日にお見送りするのが
自分の役割だと
ずっと思っていて
それは何十年と変わらないのですが
今年は少し異なっていて
自分の体力が
今回は残っていなかったので
山田さんに謝って
百貨店の出入り口での
お見送りとなりました。
何故三回も、と
思われるかも知れませんが
作家さんは
個展では暇する事の方が多い。
だから
間繋ぎになってくれればと
思っての
三回なんです。
百貨店の人には
いい迷惑なのかも知れませんが・・・。
今回の三越での個展で
本人からの最初の一言は
“写真撮ってもイイよ”
でした。
いつも個展の時には
作品の写真を
撮る事にしていたのですが
コロナ禍で
本人がいない時が何回か有って
作品の撮影が
出来なかったもんだから
その事を以前に
電話で話した事があって
その事を気にしてくれていた
みたいです。
百貨店は
撮影禁止が多いですから。
山田さんは、気配りの人なんです。
今回は3-D撮影。
本人にそう宣言しての撮影でした。
山田さんの世界観を
立体的に見て欲しいから。
ショーウインドウの作品構成は
本人が持ち時間の半分を使っての
力作との事でした。
以下の写真は
全て交差式立体視写真です。
目を寄せて
左右の画像を一つにして
作品を見て下さい。
茶碗の実際の歪みを
判って貰うには
3-D写真が最適なのですが
上手く立体的に見る事が
出来たでしょうか?
世の中には
名碗の写しの茶碗が
幾つも存在するのですが
本物を見た事の無い写し物は
そのカタチに
かなりの違和感が有り
特に志野茶碗には
その傾向が強いです。
志野は織部である。
加藤唐九郎の言葉ですが
国宝“卯花垣(卯花墻)”の
実物は
かなりの歪みが有るのですが
その事を知らない作家は
数多います。
3-D写真が有れば
その歪みを
リアルに感じて貰えるのに、と
そう思うのは
自分だけなのかも知れません。
“卯花垣(卯花墻)”は
四角に三角が乗っかっている
カタチなんですよ。
そういう話しをした時
山田さんは
何となく判ってくれました。
山田さんも自分も
志野茶碗の展覧会には
期間中に、二度、三度と
行っていますので。
脳裏に焼き付けているんです。
本物の風情を。
志野は織部なんです。