世界に希望はあるの…?
ユーロスペース × 映画監督 外山文治短編作品集
随分と久しぶりのブログ更新である。
近頃、映画を観る本数もめっきり減ってしまったし、
更新する気も薄れていたのだが、
映画という商業・業界を思うつもりで更新することとする。
今回は、映画監督の外山文治氏の短編作品を三本まとめて上映する企画上映を紹介する。
名前も聞いたことがない監督様だが、
ユーロで上映するあたりが信頼が厚い。
『此の岸のこと』
セリフは一言もない。
2010年の製作と聞くに、監督自身が若く、
映像というものへのこだわりがあったのではないかと推測した。
セリフはなくとも全てを物語る力量が分かる。
むしろ、セリフがないからの余白も意図したのだろう。
三作の中で、この作品が身近に感じたのは、
監督自身に映像加工やCGといった技術がまだなく、
丁寧にとられた、その映像のみで勝負している所だろう。
逆にどこか別世界の話にならず目で見たそのままをスクリーンで見ている感じが、
この話のリアリティ度を上げている。
幻想的に見えるラストの白い世界も、現実のホワイトアウトを待って撮ったと聞くと、納得できる。
技術がないなら無いなりに努力で撮る。
これが良い。
『わさび』
実は朝ドラとか見ていないから役者としては知っていたが、
ちゃんとお芝居を見るのはCM以外では初めてだった芳根京子が主演。
「短編だからといって場所だってこだわりたい」という監督の選択は正しい。
この話に、飛騨の情景は素晴らしい効果をもたせている。
若いながらに“将来を諦める”選択をした主人公の葵。
自分で選んだわけでも無いのに、決められてしまう現実。
やりたい事とやれない事。
父娘が、それぞれの立場でそれぞれに悩み、
進もうとする。
テーマは重いが、飛騨の情景が、
どことなくそれを優しく見せる。
三本あった内で、この『わさび』は、1番印象が強い。
もちろん監督の力もだが、役者陣の力も大きい。
アフタートークで話になっていたが、
自主同然の環境でも、それでも手伝って良いと言って出演をしてくれた、手伝ってくれた、そんな映画業界の人たちの善意で作れている。
正確には、ちょっとニュアンスが違ったかもしれないが、この話は特に『わさび』で感じる。
少しだけ、とはいえ短編だけに少しにはならないかもしれない尺で富田靖子さんなども出演している。下條アトムさんも、あの優しい演技でこの映画を支えている。
『春なれや』
冒頭から少し色加工などが表れ、
映画としては演出の色が少々色濃く表れてる作品。
話としても見たことがないような話では無いが、
監督の作風であろう“やさしい”雰囲気が漂う。
加工が多くなるにつれ、短編っぽさや、現実感は減ってしまうのは事実。
ただ、この作品に関してはファンタジーの要素が、強く敢えて使ったのであれば
緻密な構成をする監督だと思う。
日本映画界は、短編映画をあまり評価していないように思う。
長編映画が映画で、短編映画は短編映画。
そんな日本の映画界は少し間違っていると感じる。
アフタートークで、日本の映画界における短編映画の立ち位置の話になっていて、
同感だと感じる。
短編を貴重に扱う映画祭も、日本ではぴあフィルムフェスティバル程度で、
東京国際映画祭などでは部門はあれど、然程の盛り上がりが見えなく、寂しい。
TOHOシネマズ新宿 × ゴースト・イン・ザ・シェル IMAX3D
ようやく公開された「攻殻機動隊」のアメリカリメイク版。
字幕版、そしてファンなら唸って喜んでしまうオリジナルキャストによる吹替版。ともにIMAX3Dで見てきましたよ。
とてもとてもよく攻殻機動隊の世界観が再現されています。
市街地の感触はイノセンスの雰囲気に近い。
そして、ポスターや番宣でも思っていましたが、
スカヨハの草薙素子感がパない!
今まで映像化されてきた歴代アニメ版でも押井守版の
「孤独感」がよく表現できてた。
全体としては、初代「攻殻機動隊」をベースに
草薙素子の誕生の話を神山健治が監督した
「攻殻機動隊」を見ている感触。
攻殻機動隊が好きなら楽しめると思う。
初めて見た人だと、世界観を掴むまでが鍵か?
でも、ドラマ性がしっかりしているし、
アクションの見せ場もアメリカ映画としてしっかり押さえられている。
すばらしい攻殻機動隊を見ることができた。
そして、間違いなくこれ以上のキャストは考えられない
オリジナルキャストによる吹替版。
一番初めのシーンは「?」って一瞬なったが、
「1年後」のテロップが出てからの「草薙素子キター!!!!!」感は
感無量。
ただ個人的には、完全なまでの「草薙素子の声」に
「スカヨハ素子」と「草薙素子の声」に声と表情の誤差が多少気になってしまった。
「スカヨハ素子」はそれで十分「素子」。
「田中敦子」は完全にそれ以上でも以下でもない完璧なまでの「草薙素子」。
個別で見るとそれぞれ素晴らしいのだけど、吹替台本の性もあるのか、
少し違和感。
初回で、字幕版を見ていたおかげで補完できる「草薙素子」の感触もあったので、
個人的には字幕版→吹替版の順で見てよかったかな。
でも、このキャスト以上の吹替はないね!
TOHOシネマズ六本木ヒルズ × サバイバルファミリー
何年か周期にやってくる矢口祭りのスタートです!
が!今回はあえて言っておきましょう。
サバイバルエンターテイメントです。
突拍子も無いコメディが繰り出されるというよりは、
サバイバル生活の中に笑いどころを散りばめている展開。
わかる人少ないかもしれませんが、矢口史靖監督初商業監督作品『裸足のピクニック』やPFF入賞作品『雨女』をベーストーンに、近年のコメディトーンを織り交ぜた、と言った表現になるかな。
サバイバルとはいえ、身近なもので、
いつもの様な矢口コメディで、
おもしろ楽しいです!
しかも、シリアスにならずに、あくまでエンターテイメントで通す所は、さすが!
予告は、「『ウォーターボーイズ』『スウィングガールズ』の矢口監督最新作!」というナレーションパートから、かなりコメディ推しの予告編に仕上がっていましたが、
個人的には前半と後半のエンディングテーマのパートあたりからが本作をよく表していたかな?と思います。
予告がミスリードにならないといいなと思っています。
(『ダーク・シャドウ』を思い出す…)
本編は間違いなく面白かったので、そこを祈っています。
※連れによると「いや、予告とそんなに印象は違わなかった」と言っていたので、なんとも言えませんが。
ハラハラクスクスの2時間、保証します!
追記
告知があまりされていませんが、
そんな矢口監督と盟友である鈴木卓爾監督が、
ずっと続けている自主プロジェクト(?)のONEPEACEのイベントが近日あります!
ホームビデオカメラで、カメラは固定、カット割り禁止の条件で撮っている短編シリーズです。
全作品5分前後。
これは、映像が好きな人はハマりがちなシリーズだと思います。
17日(金)の24時30分〜、夜通しのイベントですが、
それぞれの作品が5分前後ですし、あいだ間の両監督のゆるトークも楽しみ!
まだまだチケットありそうだったので、ぜひぜひ全力プッシュのイベントです!
「ミス・リバーサイド」やるかな〜♩
↓↓↓↓↓ここにアクセスするのだ!
TOHOシネマズ新宿 × インフェルノ
ラングドン教授シリーズ(「ダ・ヴィンチ・コード」「天使と悪魔」)の最新作。
過去2作に比べて、ヒットもじんわり。
見てみると少しわかりましたが、
十分面白いのですが、中盤まで
誰が味方かわからない緊張の展開が複雑で、
若干の視聴者おいてけぼり感があるからかな。
でも、ダ・ヴィンチ・コードよりは好き。
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TOHOシネマズ渋谷 × シン・ゴジラ
エヴァの庵野秀明が総監督、(言われたくないかもしれないけど…)進撃の巨人の樋口真嗣が監督・特撮監督を務める。
庵野さんと知って、ぶっちゃけ「どんよりラストムービー」を覚悟していましたが、
さすがにそこまではなかった。
画面構成やカット割はエヴァそのもの、
ルーズからタイトになり顔のドン寄りなど2秒〜3秒の早いカットが冒頭からガンガン繰り出される。
でも、こうやってみると実写で同じ様に撮った方がカッコいいのだな、と分かる。
カット割が早いわ、セリフの洪水だわ、情報の多さがハンパじゃないが、
その代わりに動きが少ないカットは情報のシャットダウンが著しく恐怖を感じる。
これは、OD3で君塚さんが言った言葉だが、まさにそう。
ゴジラの無表情も、感情の読み取れない目も、
見ているものに情報が読み取れず、
「何を考えているのか分からない」恐怖を与える。
後半現れる「ザッツ特撮」なシーンの連続はリアルさを求めたものよりも
「虚構に対する興奮」がやって来る。
いかにリアルに見えるCGを前提に作っても、
やはり実際には偽物に見える。
偽物は偽物でいい。
現実に見せられないから、CGで見せる。
昔の映画は、大半がそうであった。
今夏リブート作が公開される「ゴースト・バスターズ」も現実にそこにあるようなCGを求めていない。
ハリボテで幽霊は描けないからCGを使うしかない。
観る側だって、初めから作り物であることはわかってる。
ならば、あえて作り物感があったほうが現実とは離れた「虚構」として受け入れ、
現実との差分に悩むことなく「作り物」として受け入れることができる。
後半の特撮は特にそれを感じられ、
純粋に楽しむことができる。
勝手な理屈を並べたが、同じような考えで樋口監督が撮ったのかは分からない。
とはいえ、少なからずただの観客の一人はそれを喜んだということだ。
その代わりに、ストーリーは現代の日本を忠実に追い求め、
お話で観客に「実際にこんな事が起こったら…」と連想させる。
そのバランスが本作の最も優れたバランスだったとも思う。
とにかく、ゴジラ映画としても、話題作としても
必ず見て欲しい一作である。







